Tウオッチの放射能測定活動

2018年4月27日

Tウオッチの放射能測定活動
 3月11日の福島原発事故に直面し、私達はこれを「放射能と付き合う時代の到来」ととらえ、食品や土壌の放射能汚染を市民の手で測定し、汚染情報を共有することで、私達市民が少しでも放射線被曝から身を守り、安全に暮らすための一助になるような活動に取り組むこととしました。活動は次の二本の柱からなります。トップページへ

食品等の放射能汚染測定活動

 市民から放射能測定の依頼を受ける体制を構築し、5月20日から測定活動を開始しました。2011年末までに約600検体を測定しています。  

食品等の放射能汚染測定活動開始のお知らせ
測定依頼書(doc)
放射能測定活動のまとめ(2011年5月~2012年9月)
放射性セシウム含有量集計結果(2011年5月~2012年9月 PDF)
放射能汚染の歴史と市民測定の意義(2012年9月 PDF)
放射能測定事業報告(2013年3月31日 PDF)
放射能汚染調査・測定活動情報共有化交流会(2013年8月18日
PDF)

放射能測定データ(2011年5月~)

放射能測定定点モデル測定活動

 問題が大きそうな地域を選び、モデル的な測定を系統的に行います。特に農産物、農地や周囲の環境汚染循環の防止、低減対策に資するようなデータ測定をめざします。
モデル観測地点として、栃木県那須塩原市、埼玉県小川町、神奈川県小田原市、福島県川内村、二本松市、いわき市等を選定し、活動に入っています。

■活動

2012/10/30 原発情報共有学習会(第10回)
2012/8/28 原発情報共有学習会(第9回)
2012/7/30~8/1 放射性物質汚染調査(第2次)
2012/6/26 原発情報共有学習会(第8回)
2012/4/30 市民放射能測定交流会
2012/4/24 原発情報共有学習会(第7回)
2012/3/9 第6回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)
2012/3/4~5 いわき市、有機の里東和、福島市民測定所ネットワークとの交流
2012/2/21 小田原市のあしがら農の会と交流
2012/1/30 いわき市の測定グループと交流
2012/1/29 那須塩原市のアジア学院で放射能汚染調査報告会
2012/1/27 第5回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)
2011/12/12 仙台のあいコープみやぎで測定報告会
2011/11/6~8 震災被災地化学物質汚染調査(第3次)で南相馬市、飯舘村境界などで放射能汚染調査を行う。
2011/11/3 放射能定点調査、埼玉県小川町調査
2011/10/30 第4回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)
2011/10/16 日比谷公園「土と平和の祭典2011」に参加し、放射能測定の実演を行う
2011/10/1 市民による放射能汚染自主測定活動交流会(亀戸Zビル4階会議室)
2011/9/16 同日発売の『食品の放射能汚染 完全対策マニュアル (別冊宝島)』に活動紹介される
2011/9/13~15 震災被災地化学物質汚染調査(第2次)で仙台、気仙沼などで放射能汚染調査行う。
2011/9/12 放射能定点調査、那須塩原市のアジア学院調査
2011/9/5 第3回福島原発事故情報共有学習会(亀戸Zビル4階会議室)
2011/8/30 東京東部浄化センター見学
2011/5/23 第2回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)
2011/5/20 食品等の測定活動開始
2011/5/10 亀戸事務所に測定機設置
2011/3/26 第1回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

 

リンク
市民による放射能測定活動、放射能から子どもたちを守る活動などを紹介します。
行政によるモニタリング等環境省モニタリング
文科省モニタリング情報
放射線量等分布マップ拡大サイト
この活動は、三井物産環境基金2011年度東日本大震災復興助成の適用を受けています。

震災による放射能汚染

食品等の放射能汚染の測定について
測定データ
環境省:被災地における放射性物質関連の環境モニタリング調査
Tウォッチ・放射能汚染測定結果報告会
リンク(市民による放射能測定活動、放射能から子どもたちを守る活動など)

Tウオッチの放射能測定活動
 2011年3月11日の福島原発事故に直面し、私達はこれを「放射能と付き合う時代の到来」ととらえ、食品や土壌の放射能汚染を市民の手で測定し、汚染情報を共有することで、私達市民が少しでも放射線被曝から身を守り、安全に暮らすための一助になるような活動に取り組むこととしました。活動は次の二本の柱からなります。

食品等の放射能汚染測定活動

市民から放射能測定の依頼を受ける体制を構築し、2011年5月20日から測定活動を開始しました。2012年9月末までに867検体を測定しています。   放射能測定月別測定データ
食品等の放射能汚染測定活動開始のお知らせ
測定依頼書(doc)
放射能測定活動のまとめ(2011年5月~2012年9月)
放射性セシウム含有量集計結果(2011年5月~2012年9月 PDF)
放射能汚染の歴史と市民測定の意義(2012年9月 PDF)
放射能測定事業報告(2013年3月31日 PDF)
放射能汚染調査・測定活動情報共有化交流会(2013年8月18日 PDF)
放射能測定データ(2011年5月~)

放射能測定定点モデル測定活動

問題が大きそうな地域を選び、モデル的な測定を系統的に行います。特に農産物、農地や周囲の環境汚染循環の防止、低減対策に資するようなデータ測定をめざします。  モデル観測地点として、栃木県那須塩原市、埼玉県小川町、神奈川県小田原市、福島県川内村、二本松市、いわき市等を選定し、活動に入っています。

■活動

2014年

2014/6/3

原発情報共有学習会(第19回)

2014/5/25

Tウオッチ総会記念シンポ「放射能汚染下でのPRTR制度を考える」

2014/3/31

原発情報共有学習会(第18回)

2014/1/30

原発情報共有学習会(第17回)

2014/1/19~20

放射能汚染調査交流(いわき市、東和)

2013年

11月21日

原発情報共有学習会(第16回)

10月26日~28日

放射能汚染調査交流(いわき市、東和)

9月17日

第15回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

8月18日

放射能汚染調査・測定活動情報共有化交流会 PDF

7月16日

第14回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

5月9日

第13回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

2月21日

第12回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

2012年

12月19日

第11回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

10月30日

第10回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

8月28日

第9回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

7月30日~8月1日

放射能汚染調査(いわき市、川内村、南相馬市)

7月4日

放射能定点調査、福島県川内村調査打ち合わせ

6月26日

第8回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

4月30日

市民放射能測定交流会

4月24日

第7回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

3月9日

第6回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

3月9日

第6回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

3月4日~5日

放射能汚染調査(いわき市、有機の里東和、福島市民測定所ネットワークとの交流)

2月21日

放射能定点調査、神奈川県あしがら農の会調査打ち合わせ

1月30日

放射能定点調査、福島県いわき市・放射能汚染市民測定室と交流

1月29日

那須塩原市のアジア学院で放射能汚染調査報告会

1月27日

第5回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

2011年

12月20日

放射能定点調査、神奈川県あしがら農の会調査打ち合わせ

12月12日

仙台のあいコープみやぎで測定報告会

12月8日

放射能定点調査、福島県川内村調査打ち合わせ

11月6日~8日

震災被災地化学物質汚染調査(第3次)で南相馬市、飯舘村境界などで放射能汚染調査を行う。

11月3日

放射能定点調査、埼玉県小川町調査打ち合わせ

10月31日

第4回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

10月16日

日比谷公園「土と平和の祭典2011」に参加し、放射能測定の実演を行う

10月10日

福島県二本松市調査打ち合わせ

10月1日

市民による放射能汚染自主測定活動交流会(亀戸Zビル4階会議室)

9月16日

同日発売の『食品の放射能汚染 完全対策マニュアル (別冊宝島)』に活動紹介される

9月13日~15日

震災被災地化学物質汚染調査(第1次)で仙台、気仙沼などで放射能汚染調査行う。

9月12日

放射能定点調査、那須塩原市のアジア学院調査打ち合わせ

9月5日

第3回福島原発事故情報共有学習会(亀戸Zビル4階会議室)

8月30日

東京東部浄化センター見学

5月23日

第2回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

5月20日

食品等の測定活動開始

5月10日

亀戸事務所に測定機設置

3月31日

第1回福島原発事故情報共有学習会 (亀戸Zビル4階会議室)

 

 

■ リンク  市民による放射能測定活動、放射能から子どもたちを守る活動などを紹介します。
■ 行政によるモニタリング等
環境省モニタリング
原子力規制委員会モニタリング情報
放射線量等分布マップ拡大サイト
この活動は、三井物産環境基金2011年度東日本大震災復興助成の適用を受けています。

2015年度分PRTR公表データについて(大気編)

PRTR2017年公表デ-タ(2015年届出排出量)の検討(大気編)

2017315

NPO法人有害化学物質削減ネットワ-ク

(担当理事:槌田 博)

 

届出排出量2015年の大気排出量デ-タについて、①「その排出量」と②「エコケミストリ-研究会が公表している毒性重み付け係数」を乗じた量(以下、毒性排出量)を算出して、解析しました。

また、排出量の増減を調べるために、20062010年の平均排出量と20112015年の平均排出量の差で、各事業所の届出排出量や毒性排出量を比較しました。

本報告結果および今後の水域編や年度更新デ-タの解析については、以下の解析結果掲示サイトに逐次蓄積していきますので、ご覧ください。解析結果掲示サイトURL: http://www.toxwatchdata.net/

 

1 エコケミストリ-研究会 URL: http://www.ecochemi.jp/

環境管理参考濃度と毒性重み付け係数についての詳細な説明は、以下に記載があります。本検討結果を評価する前に、「環境管理参考濃度」と「毒性重み付け係数」の定義についてご確認ください。

http://www.ecochemi.jp/PRTR2013/sankonodo.html 

2 政令指定番号の取り扱い(共通番号)

平成2011月の政令の改正により、PRTR対象化学物質が354物質から462物質に変更となり、政令指定番号が付け替えられました。

新旧の政令指定番号を連続して物質を取り扱うために、以下のように「共通番号」を定めて解析します。

  • 旧政令番号がついている物質は、新政令番号の有無に関わらず、旧政令番号を共通番号とします。
  • 旧政令番号がない新規物質は、新政令番号に1000を加えた番号を共通番号とします。
  • 将来、更に指定番号の付け替えが行われた場合は、今回と同様に、
    すでに共通番号があるものは、引き続き同じ共通番号を使用します。
    新たな物質は、その政令番号に2000もしくは適切な数を加えた番号を共通番号とします。

3 ダイオキシンの扱い

ダイオキシンについては単位をkgTEQに変換してから計算を実行した。

4 同順の場合の扱い

同順の場合、他の要素で順位をつけたものもあります。

 

ダウンロード (550KB)

http://toxwatch.net/HP/PRTRinfo/ PRTR201703matome-taiki.pdf

 

目次

PRTR2017年公表デ-タ(2015年届出排出量)の検討(大気編)… 1

全国… 2

A)有害化学物質の排出量の比較… 2

1.    総排出量トップ20成分… 2

2.    ①トルエンの排出量… 3

3.    ①トルエンの排出量の増加… 3

4.    ①トルエンの排出量の削減… 4

5.    ②キシレンの排出量… 4

6.    ②キシレンの排出量の増加… 5

7.    ②キシレンの排出量の削減… 5

8.    ③エチルベンゼンの排出量… 6

9.    ③エチルベンゼンの排出量の増加… 6

10.      ③エチルベンゼンの排出量の削減… 6

11.      ④ノルマル-ヘキサンの排出量… 7

12.      ④ノルマル-ヘキサンの排出量の増加… 8

13.      ④ノルマル-ヘキサンの排出量の削減… 8

14.      ⑤ジクロロメタンの排出量… 9

15.      ⑤ジクロロメタンの排出量の増加… 9

16.      ⑤ジクロロメタンの排出量の削減… 10

17.      ⑥二硫化炭素の排出量… 10

18.      ⑥二硫化炭素の排出量の増加… 11

19.      ⑥二硫化炭素の排出量の削減… 11

20.      ⑦トリクロロエチレンの排出量… 12

21.      ⑦トリクロロエチレンの排出量の増加… 12

22.      ⑦トリクロロエチレンの排出量の削減… 12

23.      1,2,4-トリメチルベンゼンの排出量… 13

24.      1,2,4-トリメチルベンゼンの排出量の増加… 14

25.      1,2,4-トリメチルベンゼンの排出量の削減… 14

26.      ⑨ジメチルホルムアミドの排出量… 15

27.      ⑨ジメチルホルムアミドの排出量の増加… 15

28.      ⑨ジメチルホルムアミドの排出量の削減… 16

29.      ⑩スチレンの排出量… 16

30.      ⑩スチレンの排出量の増加… 17

31.      ⑩スチレンの排出量の削減… 17

B)有害化学物質の毒性排出量の比較… 18

1.    総毒性排出量トップ20成分… 18

2.    ①六価クロム化合物の排出量… 19

3.    ①六価クロム化合物の排出量の増加… 19

4.    ①六価クロム化合物の排出量の削減… 19

5.    ②ヒドラジンの排出量… 20

6.    ②ヒドラジンの排出量の増加… 21

7.    ②ヒドラジンの排出量の削減… 21

8.    ③ホルムアルデヒドの排出量… 22

9.    ③ホルムアルデヒドの排出量の増加… 22

10.      ③ホルムアルデヒドの排出量の削減… 23

11.      ④二硫化炭素の排出量… 23

12.      ⑤マンガン及びその化合物の排出量… 23

13.      ⑤マンガン及びその化合物の排出量の増加… 25

14.      ⑤マンガン及びその化合物の排出量の削減… 25

15.      ⑥砒素及びその無機化合物の排出量… 26

16.      ⑥砒素及びその無機化合物の排出量の増加… 26

17.      ⑥砒素及びその無機化合物の排出量の削減… 27

18.      ⑦ベンゼンの排出量… 27

19.      ⑦ベンゼンの排出量の増加… 28

20.      ⑦ベンゼンの排出量の削減… 28

21.      ⑧トルエンの排出量… 29

22.      ⑨無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く。)の排出量… 29

23.      ⑨無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く。)の排出量の増加… 30

24.      ⑨無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く。)の排出量の削減… 30

25.      ⑩塩化アリル… 31

26.      ⑩塩化アリルの排出量の増加… 31

27.      ⑩塩化アリルの排出量の削減… 32

C)業種別の総毒性排出量… 32

1.    総毒性排出量トップ順全57主業種… 32

2.    総毒性排出量の増加ワ-スト20種業種… 33

3.    総毒性排出量の削減ベスト20種業種… 34

4.    ①化学工業の毒性排出量トップ10事業所… 35

5.    ①化学工業の毒性排出量トップ10物質… 35

6.    ②船舶製造・修理業、舶用機関製造業の毒性排出量トップ10事業所… 35

7.    ②船舶製造・修理業、舶用機関製造業トップ10物質… 36

8.    ③電気機械器具製造業の毒性排出量トップ10事業所… 36

9.    ③電気機械器具製造業の毒性排出量トップ10物質… 37

10.      ④鉄鋼業の毒性排出量トップ10事業所… 37

11.      ④鉄鋼業の毒性排出量トップ10物質… 37

12.      ⑤輸送用機械器具製造業の毒性排出量トップ10事業所… 38

13.      ⑤輸送用機械器具製造業トップ10物質… 38

D)企業別の総毒性排出量… 38

1.    総毒性排出量トップ50企業… 38

E)事業所毎の総毒性排出量… 40

1.    総毒性排出量トップ50事業所… 40

2.    総毒性排出量の増加ワ-スト20事業所… 41

3.    総毒性排出量の削減ベスト20事業所… 42

F) 登場企業一覧… 43

改定履歴… 44

ボランティア解析メンバ-を募集しています。… 44

2012年度分PRTR公表データについて

PRTR 2014年公表データ(2012年届出排出量)の検討(大気編)」について

 

Tウォッチでは、Web研究会という部会を設け、PRTRデータを解析してWebで市民がどのように情報共有をするのかを検討しています。

2014年度の活動成果として「PRTR 2014年公表データ(2012年届出排出量)の検討(大気編)」を公表しました。

 

PRTR 2014年公表データ(2012年届出排出量)の検討(大気編)

https://www.toxwatchdata.net/weight/air200800

 

PRTRデータ解析案内

https://www.toxwatchdata.net/

 

2010年度分PRTR公表データについて

Tウォッチ理事長 中地重晴

はじめに

さる3 月13 日に2010 年度のP R T R(有害物質排出・移動登録)集計データが公表されました。東日本大震災の影響で、例年より約1 か月遅れての公表です。津波で被災した工場から有害化学物質が排出されているのではと考えていたのですが、廃業等で、届出していない事業者が多く、被災地域は逆に排出量が減少するというこちらの予想が全く外れた感じを受けました。個別の企業について、今年度の活動テーマとして、精査する必要を感じています。

10 年分のPRTRデータをみて

届出対象物質の排出移動量の経年変化を図1 に示します。2001 年の制度開始時からは3 割程度減少していることが分かります。特に、2008 年、2009 年の排出移動量が大幅に減少していることが分かります。これは、2008 年秋のリーマンショックによる不況で、生産活動が大幅に減少したためで、生産量の減少にほぼリンクして排出移動量10 年は増加しましたが、これは2010 年度から届出対象物質の見直しが行われ、54 物質から462物質に増加したため、合計量としては増加したためです。

継続して対象物質であるものの合計は横ばいで、景気の変動とほぼリンクしていると考えられます。

また、届出対象外物質の排出量の経年変化を図2 に示します。こちらも減少傾向が見られますが、景気の変動には左右されていないようです。2010年度は対象物質の見直しで、増加しました。2002年から2003年の間に、大幅に減少していますが、これは届出対象事業者の規模の猶予期間が無くなり、対象事業者の規模が変わったために、推計値が大幅に減少したためです。推計方法の妥当性を検証する必要があると以前から主張していますが、国はそのまま放置しています。

2010 年集計データの特徴

2010 年度のPRTR集計公表データは、PRTR届出対象物質の見直しがありましたが、54 物質から462 物質に108 物質増えたり、医療業が届出対象業種に追加指定されましたが、増加量は5%程度でそれほど大きく増えたわけではありません。

また、昨年3 月11 日東日本大震災で、青森八戸から千葉県旭市までの364 工場が津波被害にあったと考えられますが、環境中への排出量が増加すると予想していたのですが、年度末に近かったことや被災を理由に届け出なかった事業者も多くあるようで、逆に被災地域では届出排出量が減少しています。

日本の現行制度では、保管量や使用量の届出義務がなく、大規模災害時の緊急避難などの防災計画に寄与することはできません。アメリカでは、住民の知る権利法に基づいてPRTR制度(アメリカではTRIと呼ぶ)が運用されているため、保管量や災害時の避難計画なども公表されています。東日本大震災をきっかけに、日本でも地域の防災計画に反映させられるような制度に変えていく必要があります。

図3 に、2010 年度の排出量上位10 物質を示しますが、ポリオキシエチレンエーテル(AE)が4 位、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその化合物(LAS)が7 位にランクインしています。

水生生物への影響の観点から届出対象物質になっていますが、家庭からの排出量が9 割以上を占め、排出削減が求められています。

また、対象物質の見直しに伴って追加されたn-ヘキサンが約1 万5 千トン排出されて、6 位を占めたのが、特徴的なことです。n-ヘキサンは抽出溶媒として利用されていますが、従来から使用されており、今まで把握されていなかった排出量が新たに分かりました。見直しによって、有害化学物質の把握が進んだといえます。

さらに、大気への届出排出量は約166000 トンですが、トルエン、ヘキサン、エチルベンゼン、塩化メチレン(ジクロロメタン)の次に、n-ヘキサンが5 番目に多いことが分かり、昨年より約1 万トン増加した大半を占めることが分かります。

自動車排ガスなど移動体からの届出外排出量の推計値は約7 万5 千トンで、届出事業者からの排出量の半分に相当する量が、自動車等から排出されていることが分かります。移動体からの排出量は、3 年続けて、約1 万トンずつ減少しており、燃費の良い自動車が増加したためかもしれません。

合成洗剤とPRTR

図4 に2010 年度の家庭からの排出量の推計値を示します。約58800 トンのPRTR対象物質が排出されたことが分かります。AE、ジクロロベンゼン(衣服用殺虫剤商品名パラゾール)、LASの順に排出されています。また、2010 年度から届出対象になったドデシル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムの二つの界面活性剤を合わせると、家庭からの排出量の61%が界面活性剤であることが分かります。

今まで、知らされてこなかったことですが、公共用水域への排出量が多いことが改めてわかります。また、AEやLASの出荷量も公表されており、制度が始まった頃はLASが10 万トン、AEが6 万トン出荷量されていたのですが、数年前に逆転し、今ではAEが12 万トン、LASが5万トンと、AEの出荷量が大幅に増加したことが分かります。

10 年前と比べて、AEとLASの合計量は1 万トン増加しています。AEのほうが皮膚への刺激も少なく、水生生物への毒性も小さいことから、LAS生産量が増加している理由のようです。

化管法では、有害化学物質の使用量の削減を目的としており、法の趣旨に則って、界面活性剤の使用量を削減していくべきで、そのための石けんの使用促進の根拠にしていくべきでしょう。
(2012年5月)