代表に就任して(2002年4月)

 

代表に就任して   2012年4月
このたびTウォッチの代表を務めることになりました。中地 重晴です。今まで、公害問題、環境汚染では企業や行政はなかなかデータを出しませんでした。それで、市民や住民のための調査研究機関として環境監視研究所を設立し、約15年間さまざまの問題に取り組んできました。ゴルフ場排水や廃棄物処分場などの環境汚染に対して、コツコツと分析結果を出すことが認められて、本年4月に、朝日新聞社の第3回「明日への環境賞」を受賞いたしました。

 

この間、リオの地球環境サミット以来、環境問題解決のためには情報公開を進めることが必要だということが提起され、この数年の間に大きな変化が起きています。企業や行政が環境への取り組みを自主的に報告し、公開するようになったことです。特に、昨年4月に施行されたPRTR法では企業に有害化学物質の排出量を年度ごとに報告することが義務付けられ、それを国が取りまとめて公開することになりました。昨年度の排出量がこの4月から6月にかけて都道府県に届け出られ、本年末にも初年度の国の取りまとめデータが公表される予定です。今まで、情報から隔絶されていた市民にとっては喜ばしいことですが、公開されるデータは事業所と媒体、対象物質ごとの排出量の数字が並んでいるだけのものです。そこから、市民が自分にとって必要な情報を得ることは簡単ではありません。そこで、地域別(たとえば、市町村ごと)の環境リスクや個別事業所の評価、非点源の排出量の評価など市民が理解できるような情報提供が必要になってきます。本年4月に環境問題に取り組んできた市民グループと有害化学物質削減ネットワークを結成して、市民向けにホームページを作成し、公開するための準備を始めました。

 すでに、PRTRが制度化しているアメリカやカナダ、イギリスではNGOによる市民向けウェブサイトでの情報提供が取り組まれています。日本でもそれらを参考に、市民にわかりやすく、ていねいな情報提供をしていきたいと考えています。PRTR制度が軌道に乗り、有害物質の排出量が減れば、本業の環境監視研究所の必要性もなくなるわけですが、そう簡単にPRTR制度が定着するとも思えません。 とにかく、より多くのNGOや市民の方に参加していただき、市民セクターとしてPRTR制度の普及と市民向けウェブサイトの構築を行なっていきたいと思いますので、ご支援、ご協力の程よろしくお願いします。