2月16日:日本が締結した「水俣条約」ってどんなもの?

2016年2月16日

 朝日新聞20162160904
日本が締結した「水俣条約」ってどんなもの?http://digital.asahi.com/articles/ASJ2J30VRJ2JUBQU00J.html?rm=452

 

■水銀使用量を減らし、適切に保管・廃棄するためのルール

 

 アウルさん 日本が「水俣条約(みなまたじょうやく)」を締結(ていけつ)したね。

 

 A 今月2日にね。正式には「水銀(すいぎん)に関する水俣条約」といって、世界で水銀を管理するために工業用(こうぎょうよう)に使う量を減らし、適切に保管し、捨てるためのルールだ。これまでに23カ国が結んだ。発効(はっこう)するのは50カ国が締結して90日後だよ。

 

 ア なぜ国際的なルールが必要なの?

 

 A 水銀は健康や環境(かんきょう)に悪影響(あくえいきょう)があり、特に有機物(ゆうきぶつ)と反応したメチル水銀は毒性が強く、水俣病の原因になった。世界ではいまも多く使われたり、大気に出されたりしているから規制(きせい)する必要があるんだ。途上国(とじょうこく)の小規模(きぼ)な金(きん)の採掘現場(さいくつげんば)では、金を取り出すために水銀が使われていて、手作業する労働者や地域の人たちの健康が心配されている。

 

 ア 日本国内ではどのくらい使われているの?

 

 ログイン前の続きA 水銀は工業製品を作るときなどに使われてきた。ピーク時は2500トンだったけれど、その後、水俣病の経験から使用は大幅(おおはば)に減り、この数年は年10トンを切っている。水銀は銅や亜鉛(あえん)などの鉱石(こうせき)に含(ふく)まれていて、製錬(せいれん)すると出る。余った水銀は海外へ輸出していて、過去10年間は年69トンから249トンぐらいだ。途上国では、まだ工業用に需要(じゅよう)があるからね。

 

 ア 水俣条約で規制されるなら、今後どうなるの?

 

 A 使用できる用途が限られ、輸出量が大幅に減る見込みだよ。水銀は常温(じょうおん)では液体なので、硫黄(いおう)と混ぜるなどして固形の硫化(りゅうか)水銀にして、産業廃棄物処分場(さんぎょうはいきぶつしょぶんじょう)に埋(う)めることになる。

 

 ア 水銀は体温計(たいおんけい)や血圧計(けつあつけい)にも使われていたよね?

 

 A 一般(いっぱん)ごみに混ざらないよう自治体で回収していく方向だ。水銀血圧計1台に蛍光灯(けいこうとう)8千本分の水銀が使われている。ごみ焼却場(しょうきゃくじょう)に水銀血圧計1台が紛(まぎ)れ込(こ)んだら、焼却場が止まりかねないんだ。もれなく集めて、適切に廃棄処分するのが大事だよ。 神田明美