1月23日:ぼうこうがん発症新たに6人、4工場で トルイジン原因可能性低く

2016年1月23日

 毎日新聞2016123日 東京朝刊
ぼうこうがん発症新たに6人、4工場で トルイジン原因可能性低く
 http://mainichi.jp/articles/20160123/ddm/012/040/032000c

 

 発がん性が指摘される化学物質「オルトトルイジン」を扱う福井県の化学工場で従業員ら5人がぼうこうがんを発症した問題で、厚生労働省は22日、他にも4工場の6人が発症していたと発表した。ただ、業務の状況などからオルトトルイジンが原因になった可能性は低いという。会社や工場名について厚労省は「6人の特定につながるため公表できない」としている。【古関俊樹、林田七恵】

  厚労省はこれまでに同じ物質を扱ったり、扱った可能性があったりする会社の63工場に対し、従業員や退職者がぼうこうがんを発症していないかを聞き取り調査した。その結果、現在も同じ物質を扱っている2工場で2人の発症を確認した。この2工場では液体状の化学製品を作る工程で少量のオルトトルイジンが排出され、発症した2人は製品のサンプル調査を担当していた。しかし、製品を作る容器は閉され、ばく露の機会は少なかったという。

  また、過去に扱っていた2工場では4人が発症していた。3人が発症した1工場は「3人はオルトトルイジンを取り扱う工程に携わっていない」と説明。1人が発症した工場は約30年前に取り扱いをやめたという。

  一方、厚労省の所管の独立行政法人「労働者健康福祉機構」は職業性ぼうこうがんに関する健康相談ダイヤル(0120・519・187)を設置し、25日から従業員や家族らの相談を受け付ける。相談は平日の午後1〜5時。携帯電話でも無料で利用できる。

  オルトトルイジンは化合物「芳香族アミン」の一種で、発がん性が指摘されている。この物質を使って顔料や染料の原料を作っている福井県内の化学工場で従業員ら5人がぼうこうがんを発症したことが昨年12月に判明した。