化学物質政策基本法
化学物質政策基本法を制定させましょう
2010年4月より改正された化審法(化学物質審査規制法)が施行されますが、日本における化学物質管理政策の最大の欠陥は、司令塔なき省庁縦割りの法規制にあります。例えば、ここ数年来問題になっているアスベスト被害に関しても、1975年に労働安全衛生法で吹き付け作業を禁止しただけで、アスベストの「管理使用」を認めてきたという総合的戦略の欠如が、被害の拡大や救済の遅れにつながったといえます。
私たち化学物質問題に取り組む市民団体は、この間、2004年11月に「化学物質汚染のない地球を求める東京宣言」をまとめ、賛同団体署名を行ってきました。2006年12月には、「化学物質管理に関する市民からの提案」をまとめ、よりよい化学物質管理政策への転換を提言してきました。この問、国際的には2002年に「2020年までに化学物質による人の健康と環境に対する悪影響を最小にする」といういわゆるWSSDの2020年目標が定められ、それに間に合うように、EUでは新化学物質管理政策REACHが施行されています。アメリカでもTSCA(有害物質規制法)の大幅改正が目論まれており、国際的にも化学物質管理に関する転換点に来ています。
2006年末から日本政府は順次、化管法、化審法と化学物質政策の見直しを行ってきましたが、小手先の修正という感が拭えません。今こそ、2020年目標を達成するために、一元的・総合的な化学物質管理を実現する必要があると思います。
2009年9月に、消費者庁が設置されましたが、化学物質管理に関わる法制度はほとんど現状のままです。化学物質管理が一元化されない限り、消費者・生活者の製品安全や食品安全が確保されることはありません。そこで、私たちは、化学物質問題や、消費者問題に取り組む市氏団体・NGOに呼びかけ、化学物質政策基本法を求めるネットワークを結成し、基本法制定をめざし、活動を進めています。
化学物質政策基本法(概要)
化学物質政策基本法(私案)2009年1月
現行法と新規法案の体系比較
パンフレット「安全な暮らしを求めて-化学物質問題基本法をみんなの手で実現させよう!」
化学物質政策基本法を求めるネットワーク(ケミネット)
2004年11月 化学物質汚染のない地球を求める東京宣言(東京宣言)
2006年12月 化学物質管理のあり方に関する市民からの提案(市民提案)
2008年秋より 化学物質政策基本法(仮称)を求める署名(現在休止中)
私たちが提案する化学物質政策墓本法の8つの墓本理念
1持続可能な化学物質の製造使用(化学物質の総量削滅)
安全で安心な市民生活を送るために、新たに化学物質を開発し続けるのではなく、化学物質の製造使用最の総量を削滅していくべきです。
2ノーデータ・ノーマーケット原則
安全性データの報告のない化学物質は市場での流通、使用を認めないという原則です。
3化学物質の影響を受けやすい人々(子どもや高齢者など)や生態系への配慮が必要です。
4ライフサイクル管理
リサイクルと称して中国や東南アジアに輸出された電子製品の処理による健康被害や環境汚染が深刻です。消費者製品に含まれる化学物質の製造、使用、リサイクル、廃棄までのライフサイクルを通じた管理が重要です。
5予防原則
健康被害や環境汚染を防止するためには、科学的証明が不十分でも、有害生が疑われる物質の使用を控えるべきです。ナノ物質については、安全性が確認されるまで市場に出すべきではありません。
6代替原則
同じ物質を使い続けるのではなく、常に調査し、より安全な物質を使用するべきです。
7すべての関係者の参加(協働原則)
化学物質管理の政策決定にもすべての利害関係者が参加するべきです。
8国際的協調
生産活動や市場経済のグローバル化の中で、EUのREACHなど先進的な制度を参考にするとともに、国際的なルールに従った化学物質管理制度を日本でも作る必要があります。
2010年3月