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化学物質政策基本法試案の概要

 

目的(第1条)

 化学物質によるリスクの低減に関する施策に関し、基本理念を定め、関係者の責務及び役割を明らかにするとともに、施策の基本事項を定めることにより、化学物質によるリスクの低減に関する施策を長期的、総合的、計画的に推進

 

基本理念(第3条〜10条)

 @ 持続可能な化学物質の製造使用(化学物質の総量削減)

A ノーデータ・ノーマーケットの原則

 B 影響を受けやすい人々(胎児・子どもなど)や生態系への配慮

 C ライフサイクル管理(研究開発から、製造、使用、リサイクル、処分に至るまで)

 D 予防原則

 E 代替原則

 F 施策の策定へのすべての関係者の参加の確保(協働原則)

 G 国際的協調

 

関係者の責務・役割(第11条〜14条)

 ○ 国の責務

   基本理念にのっとり、化学物質のリスク低減に関する施策を総合的に策定、実施する

 ○ 地方公共団体の責務

   基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえ、地域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施する

 ○ 事業者

   基本理念にのっとり、

   ・化学物質のリスク低減について第一義的な責任を有することを認識して、ライフサイクルの各段階において必要な措置を適切に講じる

   ・製品の使用、廃棄にかかるリスクの低減やリスク低減に資する原材料、役務等の利用に努める(拡大生産者責任)

   ・毒性情報の開示をはじめ、正確かつ適切な情報の提供に努める

   ・国等が実施する施策に協力する

○ 消費者の役割

    化学物質に関する知識・理解を深めるとともに、施策について意見を表明したり、主務大臣等に必要な措置の申出を行うように努めることによって、化学物質によるリスク低減に積極的な役割を果たす

 

基本施策(第17条〜38条)

 @ 化学物質基本計画の策定

 A 化学物質の登録

   ・新規化学物質の製造、輸入者は、所要のリスク評価を行い、その結果を用途とともに化学物物質評価・調整委員会(以下「委員会」という)に登録

   ・既存化学物質の製造、輸入者は、政令で定める期間内に、所要のリスク評価を行い、その結果を用途とともに「委員会」に登録

   ・登録された用途以外の用途で使用しようとする者は、所要のリスク評価を行い、その結果を用途とともに「委員会」に登録

 B 高懸念物質への規制の実施

   ・製造、輸入、運搬、使用、排出を制限

   ・事業者による回収、適正処理を確保

 C ナノ物質への規制の実施

D 化学物質に関する情報の共有

   ・製造、輸入者から、使用、廃棄する者への適切な情報提供(上流→下流への情報提供)

   ・化学物質を用いた製品の製造者、廃棄者から、当該化学物質の製造、輸入者への適切な情報提供(下流→上流への情報提供)

 E 国際的な連携を確保しつつ、適切な表示制度を構築(GHSに準拠した表示制度の構築)

 F 製造、輸入、貯蔵、取扱、排出、移動に係る化学物質の量の届出及び公表(PRTR制度の拡充)

 G 非意図的化学物質の管理の推進

 H 緊急事態への適切な対処の確保

 I 国際協力の推進

J 高懸念物質の国際移動の抑制

 K 紛争の処理及び被害の救済のために必要な措置の実施

 L 原状回復のための必要な措置の実施

 M 情報及び意見交換の促進

 N 関係大臣等に対する申出

 O 関係行政機関相互の密接な連携の下での施策の策定

 P 試験研究体制の整備、研究開発の推進、研究者の養成等

 Q 化学物質に関する情報の収集、整理、活用

 R 化学物質に関する教育、学習の振興及び広報活動の充実

 

化学物質安全委員会の設置(第39条〜58条)

 @ 国家行政組織法3条2項の委員会(独立行政委員会)として設置(現行の公害等調整委員会の改組を念頭に置いている)

 A 任務・・・化学物質に係るリスク評価の実施及びライフサイクルの各段階における紛争の迅速かつ適正な解決を図る

 B 主要な所掌事務

   ・化学物質の登録

   ・事業者によるリスク評価の審査及び必要な措置の実施

   ・リスク評価の実施

   ・リスク評価の結果に基づく施策を関係大臣に勧告

   ・施策の実施状況の監視、必要な措置を関係大臣に勧告

   ・化学物質に係る紛争のあっせん、調停、仲裁、裁定

   ・関係機関の長に意見を述べる

   ・調査研究の実施

   ・関係者相互間の情報共有及び意見交換(リスクコミュニケーション)

 C 組織等

   ・委員7名で構成(3名は非常勤)

   ・両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命(任期5年)

   ・委員会は、施策の立案にあたっては、ステークホルダー会議を開いて、広く関係者と協議しなければならない

   ・専門委員、事務局の設置

 

罰則(第59条) 

   ・秘密漏洩に対する罰則