3月18日:膀胱がんで、化学物質、乾燥工程で吸収か

2016年3月18日

毎日新聞2016318日 2309分(最終更新 318日 2309分)
化学物質、乾燥工程で吸収か 厚労省調査 福井県http://mainichi.jp/articles/20160319/k00/00m/040/110000c

 

 発がん性が指摘される化学物質「オルトトルイジン」を扱う福井県の化学工場で従業員ら6人がぼうこうがんを発症した問題で、厚生労働省は18日、生成物を乾燥させる工程で働く人に尿中のオルトトルイジン量の増加が見られ、この作業で体内に取り込まれていたとの暫定的な調査結果を公表した。

 調査結果によると、オルトトルイジンは他の化学物質と反応させる「反応工程」と生成物を乾燥させる「乾燥工程」で取り扱っていた。工程はどちらも自動化、密閉化されておらず、労働者が直接扱う作業が多かった。

 従業員は汚染された手袋を使ったり、手袋なしで製品の乾燥状況を確認したりしていたため、皮膚にオルトトルイジンを浴びて吸収した可能性があるとした。過去に呼吸用保護具の不適切な着用があったことも分かり、空気中から吸い込んだとも推察した。

 厚労省は生産工程の密閉化を基本とした防止策を指導し、全国の他の取り扱い工場にも皮膚への付着に注意するよう呼び掛ける。有識者や使用者などでオルトトルイジン規制の在り方も検討する。

 厚労省の調査結果公表を受け、福井県の工場を営む三星化学工業(東京都)は「管理・教育体制が十分ではなかったことを再認識した。今後、調査内容を踏まえ、問題点に対し継続的に改善を行う」とのコメントを出した。ぼうこうがんを発症した人には「適切な補償を行っていく」としている。【東海林智】