2月2日:水俣条約、日本も締結へ 政府閣議決定、水銀被害を防止

2016年2月2日

朝日新聞2016221253
水俣条約、日本も締結へ 政府閣議決定、水銀被害を防止http://www.asahi.com/articles/ASJ1Z3FXNJ1ZULBJ002.html

 

 政府は2日、水銀による健康被害を防ぐために国際的に管理する「水銀に関する水俣条約」を締結することを閣議決定した。近く、ニューヨークの国連本部で手続きをする。1月末時点で22カ国が締結済みで、50カ国が結んでから90日目に発効する。他国でも締結に向けて動いており、早ければ今年中にも発効する見通しだ。

 水俣条約は、水銀による環境や健康への悪影響を抑える目的で、世界規模であらゆる面で管理することをめざす。2013年に熊本県で開かれた国連の会議で採択された。

 条約では、水銀鉱山の新たな開発を禁止。輸出も制限する。化粧品や温度計などの水銀添加製品は、原則として20年以降の製造や輸出入を禁止する。火力発電所などからの水銀排出に対策を求め、水銀廃棄物も適切に処理する。途上国では小規模な金採掘で精製に水銀を使うことが問題となっており、これをなくすように努める。

 日本は昨年、「水銀汚染防止法」を制定したり既存の法律を改正したりして、国内で水銀を管理する仕組みを作り、締結への体制を整えてきた。小規模金採掘のための水銀の輸出は禁止するなど、条約よりも踏み込んだ対策もある。(香取啓介)

■水俣条約の主な内容

・水銀鉱山の新規開発を禁止。すでにある鉱山も15年以内に閉山に

・水銀輸出は認められた用途に限る

・水銀を含む電池、化粧品、体温計などの製造を2020年までに禁止。アセトアルデヒドなどの製造工程での水銀使用を禁止

・小規模な金採掘での水銀使用を削減し、廃絶に向けて行動

・石炭火力発電所などからの大気への水銀排出を削減