2月1日:江東でも六価クロム検出 歩道に地下水しみ出す?

2016年2月1日

朝日新聞201621日 東京版
江東でも六価クロム検出 歩道に地下水しみ出す?  http://www.asahi.com/articles/CMTW1602011300004.html

  江東区大島9丁目の歩道で、有害物質の六価クロムを含む地下水が地上にしみ出したとみられる跡が長さ約5メートル、幅約4メートルにわたって広がっているのを、東京農工大の研究グループが見つけた。六価クロム問題に取り組む地元区議によると、この付近の汚染水の跡としては過去20年で最大という。

  ◆都が現場洗浄 監視強化へ

  現場一帯は六価クロムを含む鉱滓(こうさい)(精錬後の鉱物くず)の投棄が1970年代に発覚した場所。都などが無害化処理をした後も汚染水が相次いで見つかっており、都の対策の限界が改めて浮き彫りになった。都化学物質対策課は「人が直接摂取することはないので、健康への影響はない」としている。

  東京農工大の渡辺泉・准教授(環境毒性学)らは2011年から毎月、現場周辺の汚染状況を調査している。26日、都営新宿線東大島駅前の都立大島小松川公園「わんさか広場」前の幅4メートルの歩道で、敷き詰めたブロックのすき間に白い粉のようなものが付着し、地下水がしみ出したとみられる跡が5メートルにわたって残っているのを見つけた。

  白い物質の簡易検査で、50ppm以上の六価クロムが検出された。水質環境基準の1千倍以上、下水排除基準の100倍以上に相当する。大きさ1~4センチの六価クロムの結晶も少なくとも6カ所にあった。

 地元で20年以上、六価クロム問題に取り組む「公園のクロムを考える会」の中村雅子・江東区議は渡辺准教授の連絡で現場を確認し、「これほど広い範囲で地下水がしみ出した跡を見たのは初めて」と話した。

 中村区議から連絡を受けた都は29日、広場を管理する指定管理者を通じて状況を調査。簡易検査で六価クロムを確認し、還元剤をまいて水で洗浄した。

 大道和彦・都公園建設課長は「今後、監視を強化したい。見つけしだい、還元剤をまいて無害化処理をする」と話す。

 大道課長によると、広場の中で歩道に接する区域では、12~13年にも六価クロムに汚染された地下水がしみ出しているのが見つかり、地下水を集める地中の管を増やす工事を13年春に行った。今回の汚染水と13年の管敷設との関係について、大道課長は「何とも言えない」と話した。

  渡辺准教授は「六価クロムを含む地下水が住民が通る場所でこれほど広い範囲でしみ出すのは異常事態だ。30年以上前からの都の無害化処理は効力がなくなってきているのではないか。改めて対策をしっかり取り、長期間、計画的に管理すべきだ」と指摘する。

  渡辺准教授らは昨年12月にも、今回の現場から約700メートル東の江戸川区小松川1丁目で、六価クロムに汚染された地下水が漏れ出しているのを見つけている。

  □未処理のまま残った可能性指摘も

  六価クロムは、めっき工場、なめし革工場などの鉱滓や廃液に含まれる有害物質で、発がん性が指摘される。73年に都が日本化学工業から買った大島9丁目の土地に大量のクロム鉱滓が埋められていたことが発覚したのをきっかけに社会問題になった。

 都は80~01年、江東、江戸川両区に埋められていた鉱滓42万立方メートルを日本化学工業の費用負担で還元、封じ込め処理をしたと説明する。だが、汚染された地下水が漏れ出す事例が後を絶たず、未処理のまま埋まっている可能性も指摘されている。

  還元、封じ込め処理をした地区の一部は大島小松川公園の「わんさか広場」「風の広場」「自由の広場」として使われている。

 基準値を超える六価クロムが検出される例は全国で相次いでおり、最近では岐阜市の工場跡地、群馬県内の八ツ場ダム関連の工事現場、千葉県浦安市の店舗用地、松山市の工場敷地などで検出されている。 (佐藤純)