環境省:素材別リサイクル戦略マップ策定に向けた調査・検討の中間報告について

2016年5月24日

http://www.env.go.jp/press/102551.html

平成28年5月24日

廃棄物

 

素材別リサイクル戦略マップ策定に向けた調査・検討の中間報告について

 環境省では、マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と温室効果ガス等の環境負荷の削減に向けた取組を進めています。今般、素材別リサイクル戦略マップ策定に向けて、初めてプラスチック及びガラスを対象として製品横断的なマテリアルフロー、温室効果ガス排出量等の環境負荷分析、課題解決に向けた方向性について調査・検討を行い、中間報告をとりまとめましたのでお知らせします。特に、プラスチックについては、現状では大部分が焼却処理等され、それに伴い約1800万トンCO2の温室効果ガスが排出されているなど環境負荷が大きいことがわかりました。今後、環境省として、循環型社会と低炭素社会の統合的実現に向けて、本検討成果を踏まえて、プラスチック及びガラスのマテリアルリサイクルを推進してまいります。

1.背景・目的

我が国では、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される「循環型社会」の形成を目指し、循環型社会形成推進基本法や個別リサイクル法等により3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取組が進められています。これらの取組のうち、水平リサイクル等の高度なマテリアルリサイクルは、廃棄物の減量に資するだけでなく、天然資源の消費の抑制、CO2 排出削減にも資する可能性があります。

また、国内でのマテリアルリサイクルを通じて、安価で一定の品質を満たす再生材料を安定的に供給可能とすることは、我が国の製造業における製造原価の低減、安定的な材料の調達に貢献し、ひいては我が国産業の競争力確保に資するという側面を持ちます。

さらに世界的にも、資源需要・消費の増加、それに伴う環境影響の増大等の課題対応の必要性が高まっており、2015年にドイツで開催されたG7エルマウ・サミットでは、資源効率性を向上させるための野心的な行動をとることがG7において合意されました。さらに、本年5月15~16日に開催されたG7富山環境大臣会合では、資源効率・3Rに関するG7の共通ビジョンや、野心的な行動を取りまとめた「富山物質循環フレームワーク」が、合意されました。

このような中、環境省では、マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と温室効果ガス等の環境負荷の削減を図るため、低炭素3R 技術・システムを通じた質の高いリサイクルの実現を目指した取組を進めています。本中間報告は、平成27年度に有識者等によって行われた、プラスチック及びガラスに関する素材別リサイクル戦略マップ策定に向けた「マテリアルフロー」、「環境負荷分析」、「排出・利用の課題解決の方向性」に関する調査・検討結果を取りまとめたものです。

 

2.調査・検討体制

平成27年度に、以下の検討会及び検討会の下に設けたプラスチック及びガラスに関する2つの分科会において、有識者及び関係事業者等による調査・検討を実施しました。

<低炭素型3R技術・システムの社会実装に向けた素材別戦略マップ検討会>

(座長) 中村 崇  東北大学多元物質科学研究所教授

大和田 秀二  早稲田大学創造理工学部環境資源工学科教授

醍醐 市朗  東京大学大学院工学系研究科特任准教授

中谷 隼  東京大学大学院工学系研究科助教

平尾 雅彦  東京大学大学院工学系研究科教授

村上 進亮  東京大学大学院工学系研究科准教授

八尾 滋  福岡大学工学部化学システム工学科教授

 

3.主な検討項目(別添資料参照)

(1)背景・目的

(2)プラスチックの素材別リサイクル戦略マップ策定に向けた調査・検討

①マテリアルフローから見た排出/利用の現状・課題

②二環境負荷分析・ケーススタディ・技術整理から得られた示唆

③課題解決の方向性検討

(ア)全般的な方向性

(イ)技術的側面から見た施策の方向性

(3)ガラスの素材別リサイクル戦略マップ策定に向けた調査・検討

①マテリアルフローから見た排出/利用の現状・課題

②環境負荷分析・ケーススタディ・技術整理から得られた示唆

③課題解決の方向性検討

(ア)全般的な方向性

(イ)技術的側面から見た施策の方向性

※別添資料は、環境省報道発表資料(http://www.env.go.jp/press/index.html)から御確認ください。

 

4.結果概要及び今後の対応について

今回の調査・検討は、質的な観点から見て十分なリサイクルが実現されておらず、かつ、温室効果ガス削減、リサイクル量増大及び最終処分量削減のポテンシャルがあると見込まれるプラスチック及びガラス等を対象に実施しました。プラスチックについては、年間排出量が約1000万トンあり、現状では大部分が焼却(エネルギー回収含む)されており、それに伴い約1800万トンCO2の温室効果ガスの排出があることが分かりました。一層のマテリアルリサイクルの推進とそれに伴う環境負荷削減に向けて、高度選別(単一樹脂選別)の導入による高品質な再生プラスチックへのリサイクルを進めるとともに、カスケードリサイクルやケミカルリサイクルを適切に組み合わせ、製品横断的なリサイクルシステムを構築することの重要性が示されました。また、ガラスについては、年間排出量が約270万トンあり、約半数程度がガラスとしてリサイクルされることで約27万トンCO2の温室効果ガス削減効果があることが分かりました。一層のマテリアルリサイクルの推進とそれに伴う環境負荷削減に向けて、リサイクル手法の多様化や、ガラスカレットの供給側と需要側のマッチング・事業化のための実証の必要性等が示されました。

今後は、環境省として本検討結果を踏まえ、温室効果ガス削減効果にも寄与するプラスチック及びガラスのマテリアルリサイクルを推進してまいります。

添付資料

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直 通 03-5501-3153
代 表 03-3581-3351
室  長 田中 良典(内線6831)
室長補佐 山口 裕司(内線6855)
担  当 光山 拓実(内線6833)