東京消防庁 化学機動中隊員 見えぬ危険物質、判断力磨く
2016年3月11日
朝日新聞2016年3月11日05時00分
(at work)東京消防庁:6 化学機動中隊員 見えぬ危険物質、判断力磨く
http://www.asahi.com/articles/DA3S12251721.html
「まぜるな危険」の洗剤を誤って混ぜてしまい、有毒ガスが発生。硫化水素による自殺。化学薬品や放射性物質がある場所での火災。そして、猛毒や細菌によるテロ――。どれも、通常の装備では近寄れない現場だ。
東京消防庁には、こうした危険物質による特殊な火事・災害に立ち向かう「化学機動中隊」がある。都内9カ所の配備拠点のうち城東消防署・大島出張所(江東区)では、山崎秀樹さん(39)が中隊長を務める。
最大の難しさは、ガスや細菌などの危険物質は目に見えないこと。通報時点では「人が倒れている」といった情報しかないことがほとんど。防護服を着て出動、風上から現場に近づく。
人命救助を最優先に、現場の状況やけが人の症状、測定結果などを総合的に判断。「何が起きたのか」を見極めながら、けが人を救出。現場の除染や中和、消火にあたる。
駆け出し消防官だったころ、危険な物質がある火災現場で何もできなかったことが悔しく、「どんな現場でも活動できるようになりたい」と選抜試験に挑んだ。7年の経験を積んだ今は部下を動かす立場。「何が存在するかわからない危険な所に入り、人を助け出す仕事。救助を待つ方はもちろん、隊員のためにも判断を間違えられない」。知識や事例を吸収しながら、自分を高め続ける。(吉川啓一郎