中国の大気汚染 九州にも飛来
2013年2月1日
朝日新聞2013年2月1日 九州にも飛来 PM2.5基準値超え
中国の大気汚染の影響は東シナ海を隔てて、九州各地や山口県にも及び、住民から自治体への問い合わせも相次いでいる。長崎県は昨年4月から、佐世保市や諌早市など県内4カ所で、PM2・5の測定を始めた。
環境基本法で定められた基準値は、1日平均で1立方メートルあたり35マイクログラム。長崎県内では通常、20マイクログラム前後だが、31日は午後3時までに4カ所の平均値で41マイクログラムを測定した。
県は「中国の10分の1程度の濃度で、すぐに体に影響を与える数値ではない。しかし、極端に数値が上がれば、注意喚起する可能性もある」。
福岡市では31日、PM2・5の測定値が市内6カ所の観測所で軒並み、基準値を上回った。担当者は「年間20~30日は基準を超える日がある」。中国からの「越境汚染」が話題になった1月中旬以降、市民からの問い合わせが20件ほど寄せられたという。
同市では昨年3月から黄砂の飛来予報を開始。新年度からはさらに、PM2・5についても観測結果や飛来予測を発表して、市民に注意を呼びかける予定だ。
山口県では30日から、通常より高い濃度のPM2・5を観測。宇部市で46マイクログラム、山陽小野田市で41マイクログラムを測定。他の6市でも30マイクログラムを超えた。
PM2.5
直径2.5マイクロメートル以下、人の髪の毛の約40分の1という粒子状物質(PM=Particu1ate Matter)。吸い込めば肺の奥や血管まで入り、ぜんそく、心臓疾患などを発症させ、死亡リスクも増加させると言われる。北京の日本大使館は1月、汚染のひどい日は外出を控えるよう在留邦人に呼びかけた。