2009年度分PRTR公表データについて

Tウォッチ理事長中地重晴

2 月24 日に、国から第9 回(2009 年度)PRTR(有害物質排出・移動登録)データの集計表が行われました。2009 年度データでは、届出排出量は17.6 万トンで、08 年度から11.6%減少、07 年度からは24.8%と大幅に減少しました。同様に届出移動量も17.6 万トンで、08 年度から12.4%、07 年度から21.1%と大幅に減少しました。

また、届出外排出量は26.4 万トンで、08 年度からは9.3%減少しました。この原因は、2008 年秋のリーマンショックによる不況の影響を大きく受け、製造業での生産活動が大幅に停滞しているため、生産量の減少に連動して化学物質の排出・移動量も減少したと考えられます。

たとえば、2009 年度自動車生産量は約8,865 万台で、08 年度から11.4%減、07 年度から26.5%減少しています。粗鋼生産量は96,450 万トンで、08 年度から8.6%、07 年度から21.8%減少しています。

事業者の自主管理による排出削減がどの程度進んでいるのか、現在のPRTR 制度では評価できなくなってきています。化学物質の取扱量も届出させ、原単位による評価ができるようにするべきだと考えます。

図1、図2 に9 年間の届出排出・移動量と届出対象外排出量の推移を示しました。制度が始まってから、有害化学物質の排出量は約4 割、移動量も2 割減少したことがわかります。

図1

図1

また、図2 では、2003 年度以降届出外排出量が大幅に減少したのは、届出対象業種からの推計値が大幅に減少したためで、推計方法の誤差か排出量がきちんと届け出られていないためか、制度的な欠陥がないか検討の必要性を示しています。一度、さかのぼって推計しなおす必要があります。また、移動体(主に自動車)からの排出量は、事業場からの大気の排出量の半分に相当する量が排出されています。

図2

図2

有害化学物質の排出量のワースト3 に変化が図3 に、2009 年度の事業場からの届出排出量と届出対象外の排出量の合計ワースト10 物質を示します。

図3

図3

最も排出量が多いのはトルエンで、約12.1 万トンも環境中に排出されました。届出対象工場から約59%、移動体などから約41%排出されています。トルエンの用途は塗料の溶剤です。業種別では、輸送用機械器具製造業とプラスチック製品製造業、化学工業の順に排出量が多いです。

また、合成洗剤の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(AE)および衣類防虫剤であるパラジクロロベンゼンの3 種類が家庭から排出されています。AE の排出量が年々増加し、今回初めて、3 番目に排出量が多い物質になりました。

温室効果ガスである代替フロンのHCFC-22 が昨年から7 番目に多い物質であることがわかります。LAS、AE、p-ジクロロベンゼン、HCFC-22 と家庭からの排出量として推計集公表される物質が上位を占めるようになり、事業場からの排出量の減少に比較して、家庭での取り組みの遅れが目立ってきていると思います。そういう意味では、私たちの暮らしのあり方を見直す転換点にあることを示すデータだと思います。

(2011年3月)

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