環境省:平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査(第3次)結果について
2017年2月14日
http://www.env.go.jp/press/103633.html
平成29年2月14日
平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査(第3次)結果について
調査を実施した全ての地点(21地点)で、アスベスト大気濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
なお、熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査は、今後も継続して実施する予定です。
1.調査目的・経緯
環境省では、熊本地震の被災地において、住民等へのアスベストを含む粉じんのばく露防止対策およびその後の飛散防止対策の実施等のための基礎情報収集を目的に、アスベスト大気濃度調査を実施しています。
第1次アスベスト大気濃度調査(平成28年6月下旬~7月上旬)、第2次アスベスト大気濃度調査(平成28年10月下旬)を実施しており、結果は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
第3次アスベスト大気濃度調査は12月上旬に実施し、今般、その結果をとりまとめました。
2.調査地点
熊本県内の以下のいずれかの条件を満たす21地点(68箇所)で調査しました。
なお、第1次、第2次アスベスト大気濃度調査の結果を参考として、継続的に調査が必要な地点、復旧・復興に向けた被災建築物等の解体等の現場周辺および災害廃棄物の仮置場等を対象に被災自治体と連携し調査地点を選定しました(第2次アスベスト大気濃度調査からの継続地点は16地点)。
① 倒壊、半壊又は一部破損している建築物等で解体・改修中の現場周辺
② 倒壊、半壊又は一部破損している建築物等の周辺
③ 災害廃棄物仮置場の周辺
④ 廃棄物中間処理施設等の周辺
⑤ 避難所等の周辺
3.調査方法
試料の採取および分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」(平成22年6月 環境省水・大気環境局大気環境課)に準じて実施しました。
本調査では、位相差顕微鏡法によりアスベスト以外の繊維も含む総繊維数濃度を求め、総繊維数濃度が1本/Lを超過した試料については、位相差/偏光顕微鏡法により、繊維の同定(アスベスト繊維濃度の測定)を行いました。
4.調査結果
調査結果は、表1のとおりです。また、表1のうち石綿以外の繊維も含む総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点におけるアスベスト繊維数濃度は、表2のとおりです。
調査を実施した21地点のうち、廃棄物中間処理施設等の周辺1地点、解体現場の周辺2地点および解体現場のセキュリティゾーン前室の1地点で総繊維数濃度が1本/Lを超過しましたが、アスベスト繊維数濃度は1本/Lを下回ったことから、通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
5.今後の対応
環境省では、引き続き、熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施する予定です。
表1 総繊維数濃度結果
NO. | 調査地点名 | 調査地点分類 | 試料採取日 | 測定箇所 | 総繊維数濃度(本/L) | |
今回結果 | 前回結果※1 | |||||
1 | 益城町福原(益城町中央小学校跡地) | 災害廃棄物仮置場 | 12月5日 | 風上① | 0.34 | 0.17~0.62 |
風上② | 0.56 | |||||
風下① | 0.45 | |||||
風下② | 0.22 | |||||
2 | 西原村布田(西原村村民グラウンド) | 災害廃棄物仮置場 | 12月9日 | 風上① | 0.45 | 0.056~0.34 |
風上② | 0.33 | |||||
風下① | 0.33 | |||||
風下② | 0.51 | |||||
3 | 南阿蘇村河陽(長陽パークゴルフ場駐車場) | 災害廃棄物仮置場 | 12月8日 | 風上① | 0.34 | ND~0.056 |
風上② | 0.056 | |||||
風下① | 0.17 | |||||
風下② | 0.53 | |||||
4 | 益城町惣領 | 損壊建築物周辺 | 12月6日 | 風下① | 0.22 | 0.17~0.62 |
風下② | 0.34 | |||||
5 | 御船町木倉(御船町民グラウンド) | 災害廃棄物仮置場 | 12月9日 | 風上① | 0.22 | 0.17~0.51 |
風上② | 0.28 | |||||
風下① | 0.22 | |||||
風下② | 0.28 | |||||
6 | 宇域市松橋町萩尾(宇域広域連合クリーンセンター) | 災害廃棄物仮置場 | 12月7日 | 風上① | 0.056 | 0.056~0.42 |
風上② | 0.56 | |||||
風下① | 0.17 | |||||
風下② | 0.17 | |||||
7 | 嘉島町井寺浮島(浮島公園北側空地) | 災害廃棄物仮置場 | 12月9日 | 風上① | 0.22 | 0.11~1.8※2 |
風上② | 0.28 | |||||
風下① | 0.39 | |||||
風下② | 0.56 | |||||
8 | 大津町室(室仮置場) | 災害廃棄物仮置場 | 12月9日 | 風上① | 0.34 | 0.17~0.34 |
風上② | 0.28 | |||||
風下① | 0.28 | |||||
風下② | 0.17 | |||||
9 | 阿蘇市一の宮町阿蘇市仮置場 | 災害廃棄物仮置場 | 12月8日 | 風上① | 0.056 | 0.056~0.11 |
風上② | 0.45 | |||||
風下① | 0.22 | |||||
風下② | 0.28 | |||||
10 | 熊本市中央区出水(熊本市総合体育館) | 避難所 | 12月8日 | 風下① | 0.28 | 0.17~0.28 |
風下② | 0.34 | |||||
11 | 熊本市南区川 | 損壊建築物周辺 | 12月7日 | 風下① | 0.79 | ― |
風下② | 0.96 | |||||
12 | 熊本市東区戸島町(熊本市戸島埋立地) | 災害廃棄物仮置場 | 12月6日 | 風上① | 0.73 | 0.11~0.22 |
風上② | 0.22 | |||||
風下① | 0.68 | |||||
風下② | 0.51 | |||||
13 | 熊本市北区貢町(熊本市扇田環境センター) | 災害廃棄物仮置場 | 12月8日 | 風上① | 0.17 | 0.17~0.28 |
風上② | 0.22 | |||||
風下① | 0.59 | |||||
風下② | 0.79 | |||||
14 | 熊本市北区改寄町 | 廃棄物中間処理施設等 | 12月7日 | 風上① | ND | ND~0.22 |
風上② | 0.22 | |||||
風下① | 0.11 | |||||
風下② | 0.056 | |||||
15 | 熊本市北区植木町 | 廃棄物中間処理施設等 | 12月7日 | 風上① | 4.1 | 0.056~0.79 |
風上② | 0.93 | |||||
風下① | 0.79 | |||||
風下② | 0.62 | |||||
16 | 熊本市北区打越町 | 解体現場 | 12月5日 | 風下① | 1.3 | ― |
風下② | 1.3 | |||||
17 | 熊本市西区島崎 | 解体現場 | 12月5日 | 風下① | 0.22 | ― |
風下② | 0.17 | |||||
18 | 益城町木山 | 解体現場 | 12月6日 | 風下① | 4.7 | 0.62~0.90 |
風下② | 4.0 | |||||
19 | 益城町宮園 | 解体現場 | 12月6日 | 風下① | 0.42 | 0.11~0.22 |
風下② | 0.36 | |||||
20 | 益城町木山 | 解体現場 | 12月10日 | 風下① | 0.34 | ― |
風下② | 0.45 | |||||
21 | 御船町豊秋 | 解体現場 | 12月13日 | 前室 | 6.4 | ― |
排気口 | 0.17 | |||||
風下① | 0.39 | |||||
風下② | 0.34 |
測定方法:位相差顕微鏡法
※1 前回調査では、試料採取を平成28年10月24日~10月29日にかけて実施しました。
詳細は、http://www.env.go.jp/press/103299.htmlからご参照ください。
※2 総繊維数が1本/Lを超えたため、位相差/偏光顕微鏡にて、アスベスト繊維数濃度を測定した結果、アスベスト繊維数濃度は1本/L以下の結果でした。
※3 ”ND”は総繊維数濃度が0.056本/L未満を示す。
表2 総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点におけるアスベスト繊維数濃度
NO. | 調査地点名 | 調査地点分類 | 測定箇所 | うちアスベスト繊維数濃度(本/L) | その他繊維数濃度(本/L) | |||
クリソタイル | クロシドライト | クロシドライト以外の角閃石系アスベスト※ | アスベスト繊維合計 | |||||
15 | 熊本市北区植木町 | 廃棄物中間処理施設等 | 風上① | ND | ND | 0.79 | 0.79 | 4.0 |
16 | 熊本市北区打越町 | 解体現場 | 風下① | ND | ND | ND | ND | 1.3 |
風下② | ND | ND | ND | ND | 1.4 | |||
18 | 益城町木山 | 解体現場 | 風下① | ND | ND | ND | ND | 4.8 |
風下② | ND | ND | ND | ND | 4.1 | |||
21 | 御船町豊秋 | 解体現場 | 前室 | 0.11 | ND | 0.28 | 0.39 | 5.9 |
測定方法:位相差/偏光顕微鏡法
※1 アモサイト、トレモライト、アクチノライトおよびアンソフィライト
※2 ”ND”はアスベスト繊維数濃度が0.056本/L未満を示す。
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局大気環境課
代表 03-3581-3351
課長補佐 廣田 (内線6533)
担当 五十嵐 (内線6536)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成29年2月14日
- 平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査(第3次)結果について
- 平成28年12月6日
- 平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査(第2次)結果について
- 平成28年6月6日
- 平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査の実施について