環境省：平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査の結果について

2016年7月29日

http://www.env.go.jp/press/102806.html

平成28年7月29日

大気環境

 

平成28年熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査の結果について

　環境省は熊本地震の被災地において、本年6月中旬から7月上旬の間にアスベスト大気濃度調査を実施し、今般、その結果を取りまとめました。
調査を実施した全ての地点（20地点）で、アスベスト大気濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
なお、熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査は、今後も継続して実施する予定です。

１．調査目的

被災した住民等へのアスベストを含む粉じんのばく露防止対策及び、今後のアスベストの飛散防止対策の実施等のための基礎情報の収集を目的として実施しました。

 

２．調査地点

熊本県及び大分県内の、以下のいずれかの条件を満たす20地点（44箇所）で調査しました。

①　倒壊、半壊又は一部破損している建築物等の周辺

②　災害廃棄物仮置場の周辺

③　避難所等の周辺

 

３．調査方法

試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル（第4.0版）」（平成22年６月　環境省水・大気環境局大気環境課）に準じて実施しました。

本調査では、位相差顕微鏡法によりアスベスト以外の繊維も含む総繊維数濃度を求め、総繊維数濃度が１本／Ｌを超過した試料については、位相差／偏光顕微鏡法により、繊維の同定（アスベスト繊維濃度の測定）を行いました。

 

４．調査結果

調査結果は、表１のとおりです。また、表１のうち石綿以外の繊維も含む総繊維数濃度が１本／Ｌを超えた地点におけるアスベスト繊維数濃度は、表２のとおりです。

調査を実施した20地点のうち、災害廃棄物仮置場の周辺１地点（２箇所）で総繊維数濃度が１本／Ｌを超過しましたが、アスベスト繊維数濃度は１本／Ｌを下回ったことから、通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。

 

表1　総繊維数濃度結果

番号 県名 調査地点名 調査地点

分類

 試料採取日 測定箇所No. 総繊維数濃度(本/L)
1 熊本県 益城町惣領

（益城町保健福祉センター）

 避難所 2016/6/14 ① 0.28
② 0.11
2 熊本県 益城町木山

（益城町総合体育館）

 避難所 2016/6/14 ① 0.34
② 0.40
3 熊本県 益城町福原

（益城町中央小学校跡地）

 災害廃棄物仮置場 2016/6/15 ① 0.45
② 0.34
4 熊本県 西原村布田

（西原村村民グラウンド）

 災害廃棄物仮置場 2016/6/15 ① 0.51
② 0.57
5 熊本県 南阿蘇村河陽

（長陽パークゴルフ場駐車場）

 災害廃棄物仮置場 2016/6/15 ① 2.2
② 1.8
6 熊本県 益城町広崎 損壊建築物周辺 2016/6/18 ① 0.11
② 0.17
7 熊本県 益城町惣領 損壊建築物周辺 2016/6/14 ① 0.28
② 0.17
8 熊本県 益城町宮園 損壊建築物周辺 2016/6/14 ① 0.74
② 0.62
9 熊本県 益城町木山 損壊建築物周辺 2016/6/14 ① 0.74
② 0.62
10 熊本県 熊本市中央区出水

（熊本市総合体育館）

 避難所 2016/6/18 ① 0.34
② 0.17
11 熊本県 熊本市東区秋津

（熊本市秋津出張所）

 避難所 2016/6/18 ① 0.22
② 0.17
12 熊本県 熊本市南区平田 損壊建築物周辺 2016/6/18 ① 0.11
② 0.056
13 熊本県 熊本市中央区新町 損壊建築物周辺 2016/6/14 ① 0.56
② 0.39
14 熊本県 熊本市中央区古川町 損壊建築物周辺 2016/7/4 ① 0.34
② 0.45
15 熊本県 熊本市東区戸島町

（熊本市戸島埋立地）

 災害廃棄物仮置場 2016/6/15 ① 0.22
② 0.17
③ 0.11
④ 0.11
16 熊本県 熊本市北区貢町

（熊本市扇田環境センター）

 災害廃棄物仮置場 2016/7/4 ① 0.056未満
② 0.17
③ 0.11
④ 0.11
17 熊本県 熊本市南区城南町

（解体廃棄物仮置場）

 災害廃棄物仮置場 2016/6/15 ① 0.056未満
② 0.11
18 熊本県 熊本市中央区鍛冶屋町 損壊建築物周辺 2016/6/14 ① 0.28
② 0.14
19 大分県 由布市湯布院町川上 損壊建築物周辺 2016/6/15 ① 0.28
② 0.17
20 大分県 由布市湯布院町川上 損壊建築物周辺 2016/6/15 ① 0.17
② 0.11

測定方法：位相差顕微鏡法

 

表２　総繊維数濃度が１本／Ｌを超えた地点における石綿繊維数濃度

番号 県名 調査地点名 調査地点分類 測定箇所Ｎｏ． うちアスベスト繊維数濃度(本/L) その他繊維数濃度(本/L)
ｸﾘｿﾀｲﾙ ｸﾛｼﾄﾞﾗｲﾄ ｸﾛｼﾄﾞﾗｲﾄ以外の角閃石系ｱｽﾍﾞｽﾄ※ ｱｽﾍﾞｽﾄ繊維合計
5 熊本県 南阿蘇村河陽

（長陽パークゴルフ場駐車場）

 災害廃棄物仮置場 ① 0.056未満 0.056未満 0.11 0.11 2.1
② 0.056未満 0.056未満 0.17 0.17 1.6

測定方法：位相差／偏光顕微鏡法

※アモサイト、トレモライト、アクチノライト及びアンソフィライト

 

５．今後の対応

今後、被災建築物等の解体、改修が見込まれることから、環境省では、引き続き、熊本地震の被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施する予定です。

 

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通　03-5521-8293
代表　03-3581-3351
課長　　：瀧口　博明(6530)
課長補佐：廣田　由紀(6533)
担当　　：五十嵐俊則(6536)