環境省:「光化学オキシダント調査検討会報告書 ~光化学オキシダントの解析と対策へ向けた指標の提言~」の公表について(お知らせ)

2014年3月28日

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17956

 

平成26年3月28日

「光化学オキシダント調査検討会報告書 ~光化学オキシダントの解析と対策へ向けた指標の提言~」の公表について(お知らせ)

 光化学オキシダントの前駆物質である揮発性有機化合物(VOC)や窒素酸化物(NOx)は削減対策によって減少しているにも関わらず、光化学オキシダントについては昼間の日最高1時間値の漸増傾向や注意報発令地域の広域化が見られ、また、環境基準達成率も極めて低い水準であり、その対策が急務となっている。このため、光化学オキシダント対策の検討に向けて必要な調査研究の在り方を取りまとめることを目的として、平成23年8月に「光化学オキシダント調査検討会」を設置し、平成24年3月に報告書を取りまとめた。  また、平成24年4月に閣議決定された第四次環境基本計画において、光化学オキシダントについては、「広域大気汚染や気象条件の変化などの影響を大きく受けやすい注意報等とは別に、環境改善効果を適切に示す指標について検討を行い、結論を得ることを目指す」とされた。  これらのことを踏まえて、平成24年度以降についても、同検討会において、平成23年度に取りまとめた報告書に基づき、今後必要な光化学オキシダント対策等の検討並びに環境改善効果を適切に示す指標の検討に資することを目的としたデータの多角的解析、シミュレーションモデルのフレーム検討等を行ってきた。  本報告書は、平成24~25年度の光化学オキシダント調査検討会で実施した解析結果を取りまとめたものである。

1.報告書の概要

別紙のとおり。

<報告書のポイント>

(1)データ解析結果

我が国のオキシダント濃度の長期トレンドは、以下の少なくとも3つの要因による効果が組み合わさったものであることが強く示唆された。これら3つの要因の寄与割合は季節および地域によって異なり、より定量的な議論は今後のモデルシミュレーションを用いた解析に委ねられる。

[1]
窒素酸化物の排出抑制による局所的NO濃度低下によってもたらされた「NOによるタイトレーション効果※の低下」による都市部におけるオキシダント濃度の増加
[2]
「越境汚染の増加」によってもたらされた光化学オキシダント濃度の増加に基づく中位、下位及び平均の光化学オキシダント濃度の増加(これらの傾向は、大陸に近い西日本で特に顕著にみられた。)
[3]
NOx及びVOC(揮発性有機化合物)の排出抑制によってもたらされた高濃度域の 光化学オキシダント濃度の低減
NOによるタイトレーション効果 一酸化窒素(NO)がオゾンと反応して二酸化窒素になり、同量のオゾンを減少させることを「NOによるタイトレーション効果」と呼ぶ。

(2)光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示す指標(提言)

光化学オキシダント濃度の8時間の移動平均値(8時間値)を基礎とする。
8時間値から日最高値を算出する。
8時間値の日最高値の年間上位1%を除外した値(すなわち年間99パーセンタイル値)を年間代表値とする。
年間代表値となる年間上位1%を除外した値(年間99パーセンタイル値)を 3年平均とする。
なお、年間99パーセンタイル値と暖候期98パーセンタイル値は、概ね一致していることを確認した。シミュレーションを活用した光化学オキシダントの対策検討を行う場合には、解析対象期間を暖候期としても、暖候期の98パーセンタイル値を評価することにより環境改善効果の適切に検討することが可能であると考える。

2.今後の予定

平成25年度に実施したシミュレーションモデルのフレーム検討を踏まえて、平成26年度にはシミュレーションモデルによる現況濃度の再現を行い、更なる現象解明を進めるとともに、対策検討や注意報発令時の措置の在り方検討に繋げていく。 また、今般取りまとまった報告書については、中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会へ報告し、現象解明や環境改善効果を適切に示す指標に関する検討に活用する。

これまでの光化学オキシダント調査検討会の開催状況は、以下を御参照ください。 http://www.env.go.jp/air/osen/pc_oxidant.html
今回取りまとめた報告書は、以下を御参照ください。 http://www.env.go.jp/air/osen/pc_oxidant/conf/chosa_h25.html

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局大気環境課 直通:03-5521-9021 代表:03-3581-3351 課長   :難波 吉雄 (6530) 課長補佐:後藤 隆久 (6556)