胆管がん3人労災認定 宮城の2人も
2013年6月14日
朝日新聞2013年6月14日
胆管がん3人労災認定 宮城の2人も 全国計20人
印刷会社で働いていて胆管がんになった人や遺族から労災請求が相次いでいる問題で厚生労働省は13日、新たに宮城県の2人と、愛知県で働いていた1人の計3人を労災認定することを決めた。大阪以外での労災認定は初めて。認定者は合計20人になった。
宮城の2人は同じ事業場で印刷機の洗浄作業をしていた30代と40代の男性。勤務先は東日本大震災で失われたが、この日の専門家検討会が、洗浄液に含まれる薬品「1,2ジクロロプロパン」に長時間、高濃度でさらされたことが発症原因になったと認めた。
愛知で働いていた40代の男性も、洗浄液に合まれる薬品「ジクロロメタン」に長時間、高濃度でさらされたことが原因だと認定した。ジクロロメタンの原因認定は初めて。
一方、営業職だった70代の男性(労災請求時点で死亡)については、仕事と発症の関係を認めなかった。
今年3月と5月に、大阪市中央区の印刷会社「SANY0-CYP(サンヨー・シーワイピー)」に勤めていた20~40代の17人(労災請求時点で7人死亡)が労災認定された。厚労省によると、この大阪の17人を含め、5月末までに全国で72人(同47人死亡)が労災認定を求めていた。(山本知弘)
「環境悪くない」工場戸惑い
「完璧に対応していたかと言われれば、落ち度があったのは事実。労災認定にしんては、真摯に受け止めたい」。労災認定が決まった宮城県の男性2人が勤める印刷会社(本社・東京)の管理担当者はそう話した。
2人は宮城県の工場で20年ほど働いていたベテランで、マスクはせずに、発がん性を指摘されたジクロロプロパンを含む製品を使って印刷機のローラーを洗っていたという。問題が報じられた後、ほぼ同じ環境の東京工場で業者に環境測定を依頼すると「基準内。むしろ良い方だ」と言われた。労墓署から問題点を指摘されたこともなく、管理担当者は「劣悪な職場環境ではなかった」という。
宮城県に工場を持つ印刷会社の社員は「うちも似たような環境だった。どこで発症してもおかしくない」。別の業者は「何が引き金になったのか、究明してほしい」と話した。(高津祐典)