環境省:被災地における第2次土壌環境モニタリング調査結果(第2報)の公表について(お知らせ)

2012年4月20日

■環境省は「被災地における第2次土壌環境モニタリング調査結果(第2報)の公表について(お知らせ)」を公表しました。 詳しくはこちらをご覧ください。

 

平成24年4月20日

被災地における第2次土壌環境モニタリング調査結果(第2報)の公表について(お知らせ)

 環境省では、東日本大震災を受け、被災地の土壌環境について、土壌汚染対策法に定める特定有害物質等のモニタリング調査(第2次)の調査を実施しました(調査実施日:平成23年12月27日~平成24年1月18日(前期)、平成24年2月11日~15日(後期))。  この度、調査項目の分析がすべて終了したため、第2報として以下のとおり公表します。 

1.追加調査の結果概要

第1次及び第2次前期の土壌環境モニタリング調査の結果、土壌溶出量基準等を上回った地点の中から8地点を選定し、当該基準等を超過した物質を対象に、敷地内における土壌汚染の範囲を把握するための追加調査(後期調査)を行いました。

(1)北沼港湾運動公園(青森県八戸市)
 水銀、鉛、砒素及びふっ素について、水平方向では30地点で調査を行い、すべての地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。また、深度方向では3地点7深度(最大21検体、最深2m/物質)で調査を行い、3地点最深1mで土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
水銀については、水平方向は3地点(測定値0.0007mg/L)、深度方向は1地点最深5cm(測定値0.0006~0.0008mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.0005mg/L)。
鉛については、水平方向は30地点(測定値0.015~0.38mg/L)、深度方向は3地点最深1m(測定値0.011~0.35mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
砒素については、水平方向は7地点(測定値0.011~0.022mg/L)、深度方向は3地点最深5cm(測定値0.020~0.031mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
ふっ素については、水平方向は4地点(測定値1.1~1.9mg/L)、深度方向は3地点最深1m(測定値0.84~3.6mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.8mg/L)。
 また、鉛については、水平方向は30地点(測定値330~2,100mg/kg)、深度方向は3地点最深10cm(測定値190~3,200mg/kg)で土壌含有量基準を上回る値が確認されました(基準値150mg/kg)。
(2)広田中学校(岩手県陸前高田市)
 ふっ素について、水平方向では30地点で、深度方向では3地点7深度(全21検体、最深2m)で調査を行い、土壌溶出量基準を上回る値は確認されませんでした。
(3)川口町公園(宮城県気仙沼市)
 鉛及び砒素について、水平方向では21地点で調査を行い、10地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。また、深度方向では3地点7深度(最大21検体、最深2m/物質)で調査を行い、2地点最深50cmで土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
鉛については、水平方向の6地点(測定値0.012~0.033mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
砒素については、水平方向は7地点(測定値0.011~0.023mg/L)で、深度方向は2地点最深50cm(測定値0.015~0.018mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
(4)東部運動公園(宮城県東松島市)
 鉛及び砒素について、水平方向では25地点で調査を行い、13地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。また、深度方向では3地点7深度(最大21検体、最深2m/物質)で調査を行い、2地点最深10cmで土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
鉛については、水平方向は12地点(測定値0.011~0.030mg/L)、深度方向は1地点最深10cm(測定値0.013mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
砒素については、水平方向は10地点(測定値0.011~0.030mg/L)で、深度方向は2地点最深10cm(測定値0.012~0.015mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
(5)赤沼揚水機場(宮城県仙台市)
 鉛及び砒素について、水平方向では10地点で調査を行い、8地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。また、深度方向では3地点7深度(最大21検体、最深2m/物質)で調査を行い、3地点最深10cmで土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
鉛については、水平方向は4地点(測定値0.011~0.028mg/L)、深度方向は3地点最深2cm(測定値0.011~0.014mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
砒素については、水平方向は5地点(測定値0.011~0.022mg/L)で、深度方向は3地点最深10cm(測定値0.012~0.045mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
(6)第一臨空公園(宮城県名取市)
 鉛について、水平方向では32地点で調査を行い、3地点(測定値0.011~0.019mg/L)で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました(基準値0.01mg/L)。また、深度方向では3地点5深度(全15検体、最深50cm)で調査を行い、土壌溶出量基準を上回る値は確認されませんでした。
(7)真野小学校(福島県南相馬市)
 砒素について、水平方向では27地点で調査を行い、6地点(測定値0.011~0.016mg/L)で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました(基準値0.01mg/L)。また、深度方向では3地点7深度(全21検体、最深2m)で調査を行い、土壌溶出量基準を上回る値は確認されませんでした。
(8)いわき海星高等学校(福島県いわき市)
 鉛及び砒素について、水平方向では25地点で調査を行い、11地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。また、深度方向では3地点7深度(最大21検体、最深2m/物質)で調査を行い、土壌溶出量基準を上回る値は確認されませんでした。
鉛については、水平方向の9地点(測定値0.011~0.020mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。
砒素については、水平方向の4地点(測定値0.012~0.032mg/L)で土壌溶出量基準を超過(基準値0.01mg/L)。

2.瓦礫の仮置場における追加分析の結果概要

第2次土壌モニタリング前期調査においては、瓦礫の仮置場について、42地点で調査を行っており、7地点で土壌溶出量基準を上回ることが確認され、被災地における第2次土壌環境モニタリング調査結果(第1報)として公表したところです。
しかし、瓦礫の仮置場では、集積された瓦礫からの漏洩等による局所的な土壌汚染が考えられ、また、土壌試料は5箇所混合方式により採取していることから、当該調査の結果、土壌溶出量基準等を超過していないものの、その1/5を上回る特定有害物質等については、個々の土壌採取箇所の濃度も確認することとしました。
土壌溶出量基準等の1/5を上回った5物質について27地点で分析を行い、3物質について11地点で土壌溶出量基準等を上回りました。

(1)青森県
 2地点で分析を行い、土壌溶出量基準及び土壌含有量基準を上回る値は確認されませんでした。
(2)岩手県
 4地点で分析を行い、土壌溶出量基準を上回る値は確認されませんでした。
(3)宮城県
 7地点で分析を行い、以下のとおり、4地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
砒素については、6地点で分析を行い、4地点で土壌溶出量基準を超過(測定値0.014~0.046mg/L(基準値:0.01mg/L))
ふっ素については、6地点で分析を行い、1地点で土壌溶出量基準を超過(測定値1.1mg/L(基準値:0.8mg/L))
(4)福島県
 8地点で分析を行い、以下のとおり、4地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました。
砒素については、4地点で分析を行い、2地点で土壌溶出量基準を超過(測定値0.011~0.012mg/L(基準値:0.01mg/L))
ふっ素については、6地点で分析を行い、3地点で土壌溶出量基準を超過(測定値0.93~4.6mg/L(基準値:0.8mg/L)) また、鉛については、1地点で分析を行い、土壌含有量基準を上回る値が確認されました(測定値720mg/kg(基準値:150mg/kg))
 また、鉛については、1地点で調査を行い、土壌含有量基準を上回る値が確認されました(測定値720mg/kg(基準値:150mg/kg))。
(5)茨城県
 3地点で分析を行いました。鉛については、2地点で分析を行い、1地点で土壌溶出量基準を上回る値が確認されました(測定値0.023~0.035mg/L(基準値:0.01mg/L))。
(6)千葉県
 3地点で分析を行いました。鉛については、2地点で分析を行い、1地点で土壌含有量基準を上回る値が確認されました(測定値380mg/kg(基準値150mg/kg))。

3.今後の対応

瓦礫の仮置場における追加分析の結果、新たに土壌溶出量基準を上回った地点については、近隣における飲用井戸の有無を調査し、飲用井戸がないことが確認されました。また、土壌含有量基準を上回った地点については、土地の利用状況を調査し、人の立ち入りが制限されていることが確認されました。
今後、北沼港湾運動公園のように土壌溶出量基準等を大きく上回った地点については、その汚染要因を特定するため、調査を行っていく予定です。

土壌溶出量基準と土壌含有量基準について
土壌汚染による健康リスクは、土壌中の特定有害物質が人の体内に取り込まれることにより生じます。健康リスクとして、土壌に含まれる特定有害物質が地下水に溶け出して、その特定有害物質を含んだ地下水を飲用することによるリスク、特定有害物質を含む土壌を口や肌などから直接摂取することによるリスクがあります。
地下水等経由の摂取による健康リスクについては、以下の考え方により土壌溶出量基準が設定されています。
[1]摂取期間
一生涯(70年間)汚染土壌のある土地に居住した場合を想定しています。
[2]1日当たりの地下水摂取量
1日2Lの地下水を飲用することを想定し、地下水の環境基準や水道水の水質基準と同様の考え方により基準を設定しています。
また、直接摂取することによる健康リスクについては、以下の考え方により土壌含有量基準が設定されています。
[1]摂取期間
一生涯(70年間)汚染土壌のある土地に居住した場合を想定しています。ただし、急性毒性の観点からも問題のない濃度レベルとなるように設定しています。
[2]1日当たりの土壌接食量