4月5日:注目される自然冷媒 ナチュラル・ファイブ
2015年4月5日
2015年4月5日
注目される自然冷媒 ナチュラル・ファイブ
冷媒として多用されたフロンは、オゾン層を破壊するとして、1987年のモントリオール議定書などで全廃の方向が決められた。CFC(クロロフルオロカーボン)は2009年、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は先進国で20年、途上国で30年に全廃される。これに替わるものとされたHFC(ハイドロフルオロカーボン)に代表される代替フロンは、オゾン層は破壊しないものの、温室効果ガスとして、1987年の京都議定書で削減が義務づけられた。
代替フロンHFCの一種のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)は温室効果がほとんどない。しかし、可燃性で、燃焼により有害ガスが発生することと、環境へ放出された際の影響についても懸念されている。
さらなる代替冷媒として、「自然冷媒」が注目を浴びている。自然冷媒とは、本来自然界に存在している物質を利用したもので、プロパンやイソブタンなどの炭化水素、二酸化炭素、アンモニア、水、空気の5つの自然冷媒が商品化されて、「ナチュラル・ファイブ」と呼ばれている。技術開発などで用途が広がっている。
・炭化水素(イソブタン4、プロパン3など)
家庭用冷蔵庫はフロンからイソブタンへ転換。海外ではエアコンなどでも使用。
・空気
マグロなどを貯蔵するマイナス50度以下の超低温冷蔵倉庫で使用。
・アンモニア
フロンの前から使用されていた。毒性が高く取扱いに注意が必要。長野五輪の競技会場などで使用。
・水
水の気化熱を利用。電気をほとんど使わないビル冷房など。
・二酸化炭素
エコキュートの冷媒。ただしエコキュートの一部の新機種がHFC(R)32を使うことになり、問題視するむきも。スーパー、コンビニのショーケースの冷媒。
日本では4月にフロン排出抑制法が施行され、フロン類を長中期的に排出することが目指されている。欧米での規制はそれ以上に進んでいる。
HCFCをHFCに替えたとしても、さらに規制が強化される可能性が高く、今後自然冷媒がさらに広がることが予想される。ただし、自然冷媒は今のところ導入コストが高いため、普及のためにはさらなる技術開発が望まれる。