11月11日:ごみ焼却場建て替え急増、交付金足りない 自治体困惑

2013年11月11日

朝日新聞DIGITAL2013年11月11日(月)07:16
ごみ焼却場建て替え急増、交付金足りない 自治体困惑

 【高木潔、香取啓介、神田明美】全国で急増するごみ焼却場の建て替えに国の予算が追いつかない。ダイオキシン対策などで1990年代に新設された施設が一挙に寿命を迎えているからだ。国が今年度確保した交付金は地方の要望額の3分の2。来年度の概算要求では半分しか確保できていない。

長野県のほぼ中央に位置する岡谷市。山の中腹にあるごみ焼却場に「10月31日で閉鎖しました」の横断幕がかかる。27年間働き、先月末で役目を終えた。

同市のごみ処理は当面、隣接する諏訪市と下諏訪町に委託された。両市町の施設も老朽化しており、ゆくゆくは3市町でつくる「湖周行政事務組合」が新しい施設を岡谷市の焼却場跡地に建設し、共同処理する。「なんでほかの自治体のごみを持ち込むんだ」と反発する住民との交渉に11年を費やした。旧焼却場を今年度中に解体して環境影響評価を終え、来年度着工、3年後の稼働を目指す。

ところが今年度、国に交付金約9700万円を要望したところ、当初予算で約6200万円しか認められなかった。事務組合の伊藤祐臣課長は「交付金が一部しか出ないとは想定していなかった。ようやく合意を取り付けたのに、計画通り進めないと白紙にと言われかねない」と心配する。来年度は4億7千万円の交付金をあてにしている。

長野県内には焼却場建設計画が12件あり、半数以上は来年度、費用がかさむ本体着工を予定する。9月には阿部守一知事や市町村長らが環境省を訪ね、予算確保を要望した。県廃棄物対策課の豊田雄三課長は「日々のごみ処理に影響が出かねない」と危機感を抱く。「本体工事を始めれば先延ばしできない。交付金が認められなければ自治体の負担が増す」