9月12日:大同特殊鋼捜索 「環境への影響監視」 鉄鋼スラグを廃棄物認定 群馬

2015年9月12日

産経ニュース2015.9.12 07:07
大同特殊鋼捜索 「環境への影響監視」 鉄鋼スラグを廃棄物認定 群馬http://www.sankei.com/region/news/150912/rgn1509120077-n1.html


 鉄鋼メーカー大同特殊鋼の本社(名古屋市)や渋川工場(渋川市)などに11日、県警の強制捜査が入り、同工場から出た有害物質を含む鉄鋼スラグ問題は事件へと進展した。県は昨年1月に渋川工場などに立ち入り検査を実施し、約1年半に及ぶ調査の結果、同工場から出たスラグを廃棄物と認めた。県環境森林部の青木勝部長は「(同工場の)スラグ使用箇所は全てリスト化し、環境への影響を監視していく」と話した。

県がこれまでに実施した調査によると、同社と子会社の大同エコメット、渋川市の廃棄物処理業、佐藤建設工業の3社は鉄鋼スラグをめぐり「逆有償取引」と呼ばれる製造・販売契約を結んでいた。

3社が平成21年7月から行っていた取引では、大同特殊鋼がスラグをエコメットに販売する一方、スラグを安定化させるための処理費として、販売額を上回る金をエコメットに支払い、エコメットは処理したスラグを佐藤建設工業に販売。さらに大同特殊鋼は佐藤建設工業にも販売管理料名目で、販売額を上回る金を支払っていた。

県廃棄物・リサイクル課の担当者は「相場からみれば、正規の方法でスラグを廃棄物処理するより、安くすんでいる」と話す。

佐藤建設工業にわたった鉄鋼スラグはアスファルトの下に敷く「路盤材」に加工され、一般の建設業者に販売されていたが、県は「建設業者はスラグが環境基準を超える有害物質を含んでいたことなどは知らされておらず、責任は問えない」と判断した。

記録が確認できた平成14年11月から出荷を停止した26年1月までの間に同工場から出荷されたスラグは計約29万トンとみられ、今後新たに使用箇所が判明する可能性はある。

県によると、大同特殊鋼など3社は取引の事実は認めているものの、スラグを廃棄物ではなく、製品として認識し、取引していたという。

大同特殊鋼は「(スラグが)使用された場所の特定や対応工事への協力を通じて会社としての責任を果たす所存です。皆さまにあらためて深くおわびします」とのコメントをホームページ上で発表した。