12月27日:水銀輸出原則禁止 水俣条約締結へ国内対策

2014年12月27日

朝日新聞20141227
水銀輸出原則禁止 水俣条約締結へ国内対策

環境省と経済産業省は、水銀による健康被害や環境汚染を防ぐため、輸出入を原則禁止するなど、包括的な水銀規制の対策をまとめた。来年の通常国会に新法環と関連法の改正案などを提出。水銀に関する水俣条約の2015年中の締結を目指す。

26日、国内の水銀対策を議論していた中央環境審議会の答申が公表された。廃棄物や大気排出対策については、専門家会議の報告書案への意見募集が終わり、年明けに答申される予定。

地球規模で循環する水銀を滅らそうと昨年10月、熊本市で開かれた外交会議で水俣条約が採択された。日本では水俣病の教訓から、極力使わない技術を開発するなど産業界の自主的な取り組みが進むが、条約を締結するには、法的な規制を整える必要がある。

新たな対策では、水銀そのものに加え、水銀を取り出しやすい特定の水銀化合物についても、輸出入を原則禁止する。水銀の含有量が比較的少ない蛍光灯など、条約で許可された使い道が確認できる揚合は、例外的に認める。アフリカやアジアを中心に健康被害が問題になっている小規模金採掘に使う揚合の輸出は、条約より踏み込んで全面禁止する。

電池やランプ、計測器などで一定以上の水銀が含まれている製品の製造や輸出入は、条約で定められている2020年より前倒して禁止する。

また、ごみ焼却炉、石炭火力発電所などから水銀が大気に排出されていることから、排ガスの水銀濃度基準を新たに設ける。輸出入や製造の禁止によって水銀は廃棄物となるため、今後は溶け出さないよう処理した上で、最終処分場に埋め立て管理する。(香取啓介)