12月21日:中国土砂崩れ 人災か、建設残土の可能性 不明85人

2015年12月21日

毎日新聞2015年12月21日 21時28分
中国土砂崩れ 人災か、建設残土の可能性 不明85人http://mainichi.jp/articles/20151222/k00/00m/030/110000c

 

 【深セン・工藤哲】中国広東省深セン市の工業団地で20日に起きた土砂崩れで、現場の背後にある建設残土処理場だった場所では、今年2月の受け入れ期限が経過した後も残土の投棄が続けられていた。中国メディアが伝えた。深センでは地下鉄建設工事などで大量の残土が発生し、違法な投棄が続けられたことが被害拡大につながったとみられ、人災との見方が強まっている。

 

 

 行方不明者は21日朝の時点で91人とされたが、85人に修正された。土砂の下では数カ所で生命反応が確認されているといい、市当局は周辺都市から消防隊の応援を受けて行方不明者の捜索に全力を挙げている。これまでに7人救出されたという。ただ、流れ込んだ土砂は、多い場所で地上4階ほどの高さにまで堆積(たいせき)しており、作業は難航している。

 

 現場の同市光明新区の工業団地「柳渓工業園」をのみ込んだのは、背後の残土処理場だった場所に高さ約100メートルに積み上げられた大量の土砂だった。中国メディアによると、処理場は2005年ごろには採石場として使われ、13年に操業を停止した。光明新区が14年2月〜今年2月、残土受け入れ施設として認可したため、土砂が極端に積み上げられるようになり、期限が切れた後も違法な投棄が続いていたという。

 

 深セン市では地下鉄3路線の建設工事が集中的に進んだことなどにより、残土の受け入れ先が不足していた。処理場の多くが郊外にあるため、業者はコストを抑えるため市内にある今回の土砂崩れ現場周辺に投棄を続けてきたとされる。業者の安全管理や地元当局の責任を追及する声が上がりそうだ。

 

 柳渓工業園から4キロ離れた地点の住民は、毎日新聞の取材に対し、事故当時の様子を「何かが爆発したかのような音が聞こえたと思ったら山が崩れた」と証言した。土砂は一気に工業団地を襲い、建物は5秒で崩れ落ちたという。当局の調査では、山自体が崩れた自然災害ではなく、山の上に投棄された建設残土が崩壊し、100メートルほど離れた工業団地をのみ込んだ。

 

 習近平国家主席は捜索と負傷者の治療に全力を挙げるよう指示。救援活動の陣頭指揮をとるために王勇国務委員(副首相級)をトップとする対策チームが現地に入った。