10月24日:別に2人が硫化水素中毒死か

2016年10月24日

毎日新聞20161021 1343
別に2人が硫化水素中毒死か

 

 北海道足寄(あしょろ)町の温泉施設(休業中)で2014年10月、入浴していた男性(52)が硫化水素中毒とみられる症状で意識不明の重体となっている問題で、同じ浴室を利用した別の3人が13〜14年に救急搬送され、このうち2人が死亡していたことが21日、地元消防などへの取材で分かった。北海道警は安全管理が不十分だった可能性もあるとして、業務上過失致傷容疑で慎重に調べている。

 関係者によると、事故のあった施設は旅館「オンネトー温泉 景福」。13年に64歳の男性、14年に38歳の男性が浴室で倒れて亡くなった。死因はそれぞれ「溺死」、「虚血性心疾患」と診断されたという。救急搬送に当たった地元消防の担当者は「当時はまさか硫化水素中毒だとは思わなかったが、同じ浴室から搬送が相次いだことを思えば、その可能性も考えられる」と指摘した。

 地元消防は当時の救急搬送記録を道警に提出し、道警が慎重に捜査している。

 環境省が昨年9月、この浴室の硫化水素濃度を測定。湯面の上方10センチで最大200ppmを検出し、国の基準値(20ppm)を大幅に上回っていることが判明した。同省は専門家による検討会で硫化水素中毒を含む温泉の安全対策基準を見直している。【袴田貴行】