環境省:PM2.5モニタリング体制の強化について

2016年12月22日

http://www.env.go.jp/press/103378.html

平成28年12月22日

大気環境

 

PM2.5モニタリング体制の強化について

環境省では、微小粒子状物質(PM2.5)のモニタリング体制を強化すべく、福岡大学キャンパスなど全国10ヵ所にPM2.5の成分を連続的に測定する機器を設置します。これにより、PM2.5の組成を正確かつ迅速に把握することが可能になり、汚染の原因究明や効果的な対策の進展が期待されます。平成28年度中に機器の設置を終え、平成29年4月からPM2.5成分の連続測定を開始する予定です。

1.PM2.5モニタリング体制強化の必要性

微小粒子状物質(PM2.5)は、粒径2.5µm以下の微小な粒子の質量濃度(µg/m3)を測定することにより汚染の程度を判断します。こうした質量濃度の測定は、現在、全国1000ヶ所を超える地点で毎時間行われています。

一方、PM2.5は複数の成分により構成され(図-1参照)、その組成は場所や時間などによって変化します。したがって、PM2.5による汚染の原因究明や効果的な対策の実施のためには、PM2.5を構成する成分の分析を行う必要があります。平成26年度には全国180地点でPM2.5の成分分析が実施されましたが、季節(春・夏・秋・冬)毎に2週間(計8週間)ずつ測定が行われたのみでした。このため、この期間以外については、PM2.5の成分が十分に把握できず、原因の究明や対策の実施に向けて連続的なデータが必要とされていました。

平成28年7月には、関係府省の大臣政務官(主幹事:鬼木誠 環境大臣政務官(当時))によって「PM2.5越境汚染対策に係る提言 ~青空回復プロジェクト~」がとりまとめられました。この提言の中にも、越境汚染による影響の実態をより詳細に把握するため、連続的なPM2.5の成分分析が可能なモニタリング体制の整備が含まれました。

また、平成28年8月に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」においても、安全・安心の確保のための具体的な項目の一つとして、PM2.5監視体制の整備が盛り込まれました。

図-1 PM2.5の成分分析の結果(平成26年度、全国の一般大気環境測定局(102地点)の平均)

 

2.PM2.5モニタリング体制強化の内容

環境省では、大学や地方自治体の協力を得て、毎時間のPM2.5成分の連続測定を行う機器を全国10ヵ所に設置することにしました。設置予定箇所と連続測定項目は、表-1及び図-2のとおりです。設置予定箇所は、国内の発生源や越境汚染による影響、バックグラウンド濃度を把握する観点から、専門家の意見も聴いて定めたものです。平成28年度中に機器の設置を終え、平成29年4月から測定を開始する予定です。

PM2.5モニタリング体制を強化することで、国内の発生源や大陸からの越境汚染による影響などを詳細かつ把握することが可能となり、PM2.5対策に貢献することが期待されます。

 

表-1 PM2.5成分の連続測定機器の設置予定箇所名

測定予定箇所名 設置住所 連続測定項目注1
硫酸・硝酸イオン 水溶性有機物 金属元素 有機炭素
福岡大学キャンパス 福岡県福岡市

(全イオン)

国設新潟巻(まき)酸性雨測定所 新潟県新潟市
国設東京酸性雨測定所 東京都千代田区 注2
国設五島酸性雨測定所 長崎県五島市
国設札幌大気環境測定所 北海道札幌市
国設箟(のの)(だけ)大気環境測定所 宮城県涌谷町
国設名古屋大気環境測定所 愛知県名古屋市
国設大阪大気環境測定所 大阪府大阪市
赤穂(あこう)市大気環境測定局 兵庫県赤穂市
国設隠岐(おき)酸性雨測定所 島根県隠岐の島町

注1 連続測定項目の硫酸・硝酸イオン、水溶性有機物、有機炭素は、光散乱や光減衰、吸光光度法等により分析され、金属元素は蛍光X線によって分析されます。

注2 東京都環境科学研究所(江東区)に設置予定。

図-2 連続測定機器の設置予定箇所


添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通 03-5521-9021
代表 03-3581-3351
課長   瀧口 博明(6530)
課長補佐 船越 吾朗(6556)
担当   井形 瑛梨(6539)