環境省:第14回 化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップの結果について

2012年11月6日

■環境省は「第14回 化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップの結果について」を公表しました。詳しくはこちらをご覧ください。

 

平成24年11月6日

第14回 化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップの結果について

 第14回化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップを、11月1日、2日に英国ウインザーにおいて開催しました。本ワークショップでは、両国の研究担当者による研究成果の発表、意見交換及び今後の研究計画の検討等が行われたほか、関連する情報交換等が行われました。

1 目的

平成11年3月に開催されたG8環境大臣会合において、化学物質の内分泌かく乱作用に関して英国と共同研究を実施することが合意され、5カ年の日英共同研究事業が開始されました。平成16年度に5年間の延長が決定され、さらに平成21年11月の第11回ワークショップにおいて、5年間の継続に関する文書の調印を行い、現在第3期の共同研究を実施しているところです。  第14回にあたる今回のワークショップでは、共同研究を実施している以下の4つの枠組み(コアプロジェクト)について、両国の研究担当者が成果発表及び意見交換を行った上で、今後の具体的研究課題についての検討を行いました。

※4つの枠組み(コアプロジェクト):

Core1:
処理排水中及び環境中の主要な内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質及び新たな化学物質の挙動を推定するための研究、並びにそれら化学物質の環境中への排出を低減するための研究
Core2:
内分泌かく乱化学物質が起こしうる環境リスクを評価するための野生生物への悪影響を推定する方法(試験法)の開発
Core3:
水生生物及びその他の生物の生殖及び成長への影響を把握するための化学物質試験法における様々なエンドポイントの評価(遺伝子レベルや分子生物学的なアプローチ)に関する研究
Core4:
英国及び日本における野生生物への環境リスク(個体群レベルでの影響等)の解析

2 日時

平成24年11月1日(木)、2日(金)

3 場所

Sir Christopher Wren Hotel(英国 ウインザー)

4 出席者

日本:
井口泰泉(研究統括者、自然科学研究機構)、鑪迫典久(国立環境研究所)、山崎邦彦(環境省)、他(15名)
英国:
トム ハッチンソン(研究統括者、環境水産科学研究所)、デビット・ウィリアム(英国 環境・食料・農村地域省)、マイク ロバーツ(英国 環境・食料・農村地域省)、他(25名)
その他:
豪州の研究者(1名)

5 結果の概要

(1)
日英共同研究におけるこれまでの研究成果及び今後の研究計画について 両国の研究担当者より、これまでの研究成果等についての報告及び今後の研究計画についての議論がなされた。概要は以下のとおり。
[1]
研究の進捗及び成果に関する報告の概要 Core1:  医薬品類等の下水処理過程での除去率や挙動等に関する調査結果、数理モデルによる医薬品類等の環境中濃度の推定等に向けた研究成果及び環境試料中のエストロゲン様作用の評価に向けたレポータージーンアッセイの適用に関する研究成果等についての報告がなされた。
Core2:  化学物質の抗アンドロゲン様作用等を検出するための新たな試験法の開発に向けたメダカ及びイトヨ(冷水性淡水魚)での検証実験の結果等が報告された。
Core3:  メダカでのアンドロゲンによる尻鰭の乳頭状突起(二次性徴)の形成及びメダカや両生類における化学物質のエストロゲン様作用による精巣卵の形成メカニズム並びに化学物質のエストロゲン様作用に対する生物種ごとの感受性の違いなど分子生物学的なアプローチによる研究成果等が報告された。
Core4:  日本における野生のカエル類に見られる精巣卵の形成、海産魚類(マハゼ及びボラ)における雄でのビテロゲニン生成や精巣卵発現等の実態に関する調査結果等についての報告がなされた。
[2]
来年度の研究計画 Core1:  医薬品類等の生分解や吸着などの環境中での挙動の解明及び河川中濃度の推定のための数理モデルの検証、並びに抗アンドロゲンまたはエストロゲン様作用を示す可能性がある排水中の物質の特定及びそれらの環境中での挙動等に関する検討を進める。
Core2:  化学物質の抗アンドロゲン様作用を検出するための尻鰭の乳頭状突起の形成に着目したメダカを用いる新たな試験法について、イトヨ(冷水性淡水魚)での試験法との比較等により検討を進める。
Core3:  各種魚類でのエストロゲン受容体のサブタイプ毎の機能の差異等の解明に向けた研究及び各種受容体を用いたレポータージーン試験法の確立に向けた検討を進める。
Core4:  野生のカエルについての精巣卵発現等のデータの蓄積及び化学物質との関連性についての検討、並びに海産の魚類及び貝類についての化学物質の内分泌かく乱作用を調べるためのバイオマーカーの確立に向けた妥当性の検証等を進める。
(2)
関連する情報交換等について 化学物質の内分泌かく乱作用に関連する日本及び英国の取組状況、豪州における関連研究の動向等が紹介された。
(3)
次回ワークショップについて 次回ワークショップは、平成25年度に日本で開催することが合意された。
化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究については、下記ホームページ(専門家向け 英語のみ)でも概要を御覧いただけます。 http://www.uk-j.org

 

連絡先

環境省総合環境政策局環境保健部 環境安全課
直通    03-5521-8261 代表    03-3581-3351 課長    上田 康治(内6350)
課長補佐 森川 博司(内6365)
環境保健部企画課