環境省:水環境における放射性物質のモニタリング結果(平成26年度末とりまとめ)について(お知らせ)

2015年3月31日

http://www.env.go.jp/press/100786.html

平成27年3月31日

水・土壌

 

水環境における放射性物質のモニタリング結果(平成26年度末とりまとめ)について(お知らせ)

 今般、水環境における放射性物質のモニタリング(①平成26年に全国で実施した放射性物質のモニタリング、②平成23年から26年に福島県及び周辺県で実施した放射性物質モニタリング、③平成25年に原子力規制委員会が実施した放射性物質のモニタリング)について、その結果をとりまとめましたので、お知らせします。
全国で実施したモニタリングの結果は、自然放射性核種で過去の測定値より比較的高い値が検出された底質の1地点を除き、過去の測定値の傾向の範囲内でした。また、福島県及び周辺県におけるモニタリングの結果は、公共用水域については、水質は全県で減少傾向にあり(福島県以外では平成25年以降不検出)、底質はばらつきがみられる地点はあるものの、ほとんどの地点で減少傾向がみられました。地下水については、平成23年に検出された2地点を除き、全地点で不検出でした。

1.経緯

環境省では、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、「福島原発事故」という)を受けて、平成23年から福島県及び周辺県での放射性物質モニタリングを実施するとともに、水質汚濁防止法の改正(平成25年12月施行)を踏まえ、平成26年から全国の公共用水域及び地下水における放射性物質モニタリングを実施しています。これらの結果は、随時、速報値として公表してきました。

今般、上記モニタリング(①平成26年に全国で実施した放射性物質のモニタリング及び②平成23年から26年に福島県及び周辺県で実施した放射性物質モニタリング)及び③平成25年に原子力規制委員会が実施した放射性物質モニタリングについて、その結果を評価し、とりまとめました。

本とりまとめの概要は、以下のとおりです。また、とりまとめの詳細は、以下の環境省ホームページに掲載しています。

http://www.env.go.jp/air/rmcm/index.html

 

2.概要

2-1.全国で実施する放射性物質のモニタリング(平成26年)

○ 全国の公共用水域及び地下水における放射性物質の存在状況の把握を目的として、全国47都道府県において、公共用水域、地下水とも各110地点で平成26年から開始した。

○ 全β及び検出されたγ線核種は、底質で過去の測定値より比較的高い値が検出された1地点を除き、過去の測定値の傾向の範囲内であった。検出下限値は、物質ごと、地点ごとに異なるが、概ね水質で0.001~0.1Bq/L程度、底質で1~100Bq/L程度であった。

○ 公共用水域及び地下水の一部の地点で、K-40が高い地点があったが、海水の影響等によるものと考えられた。

○ 自然核種では、過去に全国的な規模で調査事例がない又は調査事例はあっても検出されたことのない核種が検出されたが、いずれもトリウム系列又はウラン系列の核種で、通常天然の土壌岩石などに含まれるものと考えられた。

○ 公共用水域の一部の地点で、検出下限値を超える人工核種Cs-134及びCs-137が確認されたが、過去の測定値の傾向の範囲内であった。

○ 水環境における放射性物質の存在状況を把握するため、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当である。

 

2-2.福島県及び周辺県での放射性物質モニタリング(平成23年~平成26年)

○ 福島原発事故を受けて、当該事故由来の放射性物質の水環境における存在状況の把握を目的として、1都8県において、公共用水域で約600地点、地下水で約400地点で、平成23年9月以降継続的に実施してきた。

○ 平成23年のモニタリング開始当初から平成26年までの放射性セシウムの測定結果の概要は、以下のとおりであった。

<公共用水域>

1) 水質(検出下限値:1Bq/L)

・ 河川及び湖沼では、検出率は全県で減少傾向で推移し、福島県以外では平成25年以降検出されていない。

・ 沿岸では、全地点で不検出であった。

2) 底質(検出下限値:10Bq/kg)

a) 濃度分布

・ 河川では、福島県浜通り、会津、茨城県及び千葉県の一部で、比較的高いレベルの地点があった。そのほかの都県等では、全体として比較的低いレベルであったが、部分的に、比較的高濃度の地点があった。

・ 湖沼では、福島県浜通りの一部で、比較的高いレベルの地点があった。そのほかの都県等では、全体として比較的低いレベルであったが、部分的に、比較的高濃度の地点があった。

・ 沿岸では、宮城県及び福島県の一部で、比較的高いレベルの地点があった。そのほかの都県では、全体として比較的低いレベルであった。

b) 増減傾向

・ 河川では、ほとんどの地点で減少傾向がみられた。

・ 湖沼では、ばらつきがみられる地点はあるものの、それ以外の地点では、ほとんどの地点で減少又は横ばい傾向がみられ、一部の地点において増加傾向がみられた。

・ 沿岸では、ばらつきがみられる地点はあるものの、それ以外の地点では、ほとんどの地点で減少傾向がみられた。

<地下水>

・ 地下水の水質については、平成23年に検出された2地点を除き、全地点で不検出であった(検出下限値1Bq/L)。

○ 放射性セシウム以外の核種については、以下のとおりであった。

・I-131:公共用水域及び地下水について、全地点で不検出であった。

・Sr-89:地下水について、全地点で不検出であった。

・Sr-90:公共用水域の底質について、一部の地点で検出されているものの、放射性物質濃度は減少傾向であった。地下水について、全地点で不検出であった。

○ 放射性物質濃度は、地点によっては、採取回ごとの試料の採取場所及び性状のわずかな違いによっても数値の増減変動にばらつきが見られると考えられることから、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当である。

 

2-3.その他の全国規模で実施された放射性物質のモニタリング(平成25年)

○ 原子力規制庁が実施する環境放射能水準調査の結果は、全て過去の測定値の傾向の範囲内であった。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課
代  表:03-3581-3351
直  通:03-5521-8316
課  長:二村 英介(内線6610)
課長補佐:長澤 沙織(内線6614)環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室
直  通:03-5521-8309
室長補佐:袖野 玲子(内線6604)
担  当:佐藤 孝行(内線6609)