環境省:「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第20回会合」の結果について(お知らせ)

2014年9月25日

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18696

平成26年9月25日

「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第20回会合」の結果について(お知らせ)

エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第20回会合の結果をお知らせ致します。

1.MEF全体日程・開催地、参加国

9月21、22日、ニューヨーク(米国)にて開催された。世界の排出の大部分をしめる主要経済国(17の国と機関:日、米(共同議長)、英、仏(COP21議長国)、独、伊、加、露、中、印、韓、豪、墨、南ア、伯、インドネシア、EU(伊(議長国)及び欧州委員会(EC)))及びオブザーバー10カ国(NZ、ポーランド(COP19議長国)、ペルー(COP20議長国)、サウジアラビア、シンガポール、マーシャル、ガンビア、タンザニア、トルコ、デンマーク)の計27カ国の環境大臣や気候変動特使、国連気候変動枠組条約事務局長及びADP共同議長他が参加した。議長はアトキンソン米大統領次席補佐官がつとめた。

2.外務大臣セグメント(21日午後5時~6時15分)

 各国外務大臣(12名)その他の参加を得て開催され、我が国からは岸田外務大臣が出席した。ケリー国務長官より、気候変動はグローバルな安全保障にも影響を及ぼす喫緊の課題であること、2015年合意のため外務大臣としても政治の意思を示すことが重要と強調した。岸田大臣よりは以下を述べた。

○2015年合意はすべての国が参加する公平かつ実効性のあるものでなければならない。

○日本としてもCOP19の決定を踏まえ、COP21の成功に向け、約束草案をできるだけ早期に提出することを目指す。

○日本は気候変動の影響に脆弱な国への支援を重視している。日本の強みである防災に関する知見や技術は適応対策にも資するもの。来年3月に仙台で開催される第三回国連防災世界会議の成功に向けて協力いただきたい。

3.議論の概要

(1)約束草案の対象範囲,情報の差異化

2015年に各国が提出する約束草案に関し、(ア)その範囲は緩和(排出削減)のみか、適応や資金、技術移転等の要素を含むのか、(イ)提出する情報は先進国と途上国とで差異化されるべきか等につき議論された。緩和についての約束草案は全ての国が提出すべきとの点は一致があったが、一部途上国は緩和と政治的に同等に重要である適応その他の要素を含めるべきと主張、これに対し、2015年末までの限られた時間で適応やその他の要素を含む約束草案を全ての国が提出することは困難等の反論があった。また、(イ)情報の差異化については、全ての国が自己決定に基づいて約束草案を提出するものであり、約束草案に求められる透明性に差異はないため、先進国と途上国とで提出を求める内容を差異化する必要はないとの見解に対し、条約の原則や歴史的責任を基に、必要な野心の確保に向けた締約国間の信頼を担保するためにも、政治的な差異化が必要とする国も見られた。

我が国からは、望月環境大臣が以下を発言した。

○新たな枠組みはすべての国が参加する公平かつ実効的なものであり、先進国・途上国が、各国の事情が異なる中で約束草案を自ら決定することにより、差異化は内包され「共通だが差異ある責任」も実質的に満たされている。

○約束草案の中心は緩和であり各国の成果や努力が比較可能となるよう必要な情報を提出すべき。特に主要経済国には、経済全体を対象とし定量化された目標の提出を強く期待する。一方、排出量が少なく、能力の限られた国については定量的ではない約束を提出するとの配慮も検討しうる。

重ねて日本より、適応や資金、技術移転等は2015年合意の重要な要素であるが、緩和とは性質が異なるものであり、右合意の中で適切に位置づけられるべきと主張した。

(2)2015年合意における説明責任の要素

約束草案に関するルールや透明性、約束草案の法的性質、約束期間のサイクル等につき議論された。各国が自己決定する約束草案の中で透明性を果たすべきであり、約束の型(経済全体の定量的な削減目標、原単位目標等)に応じた必要な情報を提出すべきとする一部の国に対し、途上国の先進国に対する信頼を担保する何らかの措置(例えば先進国の約束草案の内容の後退禁止や、法的拘束力を先進国と途上国とで差異化する等)が必要との主張もなされた。また、サイクルとの関連では、約束草案の終了年との関係で、2030年を主張する国と2025年を主張する国から、各々の利点と問題点を主張した。

(3)適応

2015年合意における適応の扱いを中心に議論された。適応が主要な要素であり、各国による適応の主流化が必要、国連気候変動枠組条約の下での適応に関する知識・知見の実績を活用すべきとの点には幅広い意見の一致があった。一方で、途上国における適応は、先進国の支援を前提とするとして予見可能な支援の約束が必要との意見、GCF(緑の気候基金)への資金動員が急務、との主張もなされた。日本からは、適応は地球規模の課題であり、新たな合意の中には、(ア)適応における共通のビジョンの共有、(イ)国ごとの適応行動の強化、(ウ)適応に関するモニタリングと強化と適応行動の知見の共有、の3点を含めるべき、枠組条約の外の機関との連携も重要としつつ、我が国は、適応の国家開発計画における主流化と、インフラや技術協力等を組み合わせた具体的プロジェクトを通じた協力の双方に着実に取り組んでいる、として具体例を挙げつつ説明した。

(4)その他

来年5月までに2015年合意の草案を策定する必要があるとの今後の日程を踏まえ、ADP(ダーバン・プラットフォーム)共同議長から、議論の進捗と10月の次回ADP会合の主要論点を説明、今回のMEFでも議論がなされた約束草案の範囲、ルールのあり方、2015年合意における適応や資金の扱いについての検討を深める必要があるとの説明がなされた。

連絡先

環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351 直通:03-5521-8330
室   長:大井 通博 (6772)
室長補佐:増田 大美 (6773)
係   長: 東 実希 (6789)