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化学物質政策基本法(試案)の位置づけ

 1 .「化学物質政策基本法」と個別法の関係

  「化学物質政策基本法」及び「化学物質評価・調整委員会」、並びに主要な個別法令との関係は下図のとおりです。(   は新規立法)。

 

 2.新規立法の必要性

 

   化学物質政策基本法(以下、基本法といいます)の基本理念・基本施策に則り、以下の新法を立法化する必要があると考えます。

 

 (1)「化学物質基盤法」(仮称)

    新規・既存を問わず、一定生産量以上の化学物質には事前登録・審査が必要と考えますので、その旨と全ての用途を通じての規制、並びに排出等の登録について定める新法「化学物質基盤法」(仮称)を制定する必要があります。現行の化学物質審査規制法化学物質排出把握管理促進法を合体させたような法律ですが、基本法の理念に立脚して、抜本的に再構成することが必要なため、新規立法化して、新規・既存を問わず一元的な管理を可能にすることが求められています。

 

 (2)「消費者製品規制法」(仮称)

    消費者製品についても、薬事法や農薬取締法のように事前登録制度や販売管理制度を導入する必要があります。また、現行の家庭用品規制法家庭用品品質表示法消費生活用製品安全法を統合して、消費者の健康の保護と生態系の保全のための一元的管理の枠組みを創設することが求められます。さらに、循環型社会の形成推進の観点から、消費者製品についての拡大生産者責任原則を明確化し、生産者に回収、再利用、適正処理を義務づけることが必要です。基本法に則り、これらの点を踏まえた新法「消費者製品規制法」(仮称)の立法化が望まれます。

 

 (3)「殺虫剤等規制法」(仮称)

    現行の農薬取締法は、農作物を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミ等の防除に用いられる殺虫剤等の薬剤を対象にしていますので、同じ成分の薬剤であってもそれ以外の用途で使用される場面では適用されません。しかし、農作物防除以外の用途で使用される場面についても、薬剤の成分に着目して登録制度を設け、販売・使用の規制を行なうとともに、防除業者への規制も講じる必要があります。現行の農薬取締法を基本法に則って抜本的に見直して、新たに「殺虫剤等規制法」(仮称)を立法化することが求められます。

 

 (4)「化学物質被害者救済法」(仮称)

    シックハウス症候群、化学物質過敏症など新たな化学物質による被害者が増大していますが、このような被害者を適正に救済する法律が現行制度にはありません。こうした被害者はごく微量の化学物質に反応するため、しばしば日常生活にも多大な困難をきたしているのが実情です。こうした被害者の一時避難のための転居を可能とするような新たな救済制度がぜひとも必要です。

 

 (5)「ナノ物質管理法」(仮称)

     日本においてはナノ物質管理に関する公開の議論はもちろん、ナノ物質管理そのものが全く行われておらず、安全性が確認されないままに、ナノ製品が市場に出ています。また、現行の化審法をナノ対応にすることは、対象範囲、試験方法、評価方法、管理方法などが異なることや、大幅な改正が必要となり、複雑になることなどから現実的ではありません。従って、新たな「ナノ物質管理法」(仮称)を早急に制定する必要があります。

                ナノ物質管理法(試案) 提案者:化学物質問題市民研究会       

3.「化学物質安全委員会」について

   現行の公害等調整委員会を改組して、現行の公害に係る紛争の調整に加えて、化学物質の登録、リスクの評価の実施、必要な施策の勧告、化学物質に係る紛争の調整等を行う独立行政委員会を設置することを提案します。同委員会が有効に機能するためには、専門委員・事務局スタッフの充実が不可欠です。同委員会には、300人程度の専門委員と1000人規模の事務局スタッフを配置することを提案します。

 

化学物質政策基本法(仮称)と個別法の位置づけ