8つの基本理念

 ケミネットの提案する化学物質政策は次の8つの基本理念が柱となっています。

@持続可能な社会のための化学物質の製造使用(化学物質の総量削減)

 安全で安心な市民生活を送るために、化学物質による人の健康や環境への悪影響を極力少なくする必要がある。そのために、化学物質に囲まれた暮らしから、化学物質の製造・使用量 及び環境への排出量の総量を削減していきましょう。

 

Aノーデータ・ノーマーケットの原則

 安全性データの報告のない化学物質は市場での流通、使用を認めないという原則です。日本 は今まで有害性が明らかでないと規制をしないノーデータ・ノーレギュレーションの立場をとってきました。今こそ考え方の転換が必要です。

 

B影響を受けやすい人々(胎児・子供など)や生態系への配慮

 化学物質の被害は胎児や子供、老人など影響を受けやすい人たちから発生しています。被害を減らすためには感受性の高い人たちの視点から規制や管理が必要です。また、人の健康だけでなく、生態系への配慮も必要です。

 

Cライフサイクル管理(研究開発から、製造、使用、リサイクル、廃棄処分に至るまで)

 化学物質は製造、使用段階だけ管理すればよいというものではありません。使用後廃棄され る段階での不法投棄や環境汚染が問題になっています。リサイクルと称して中国や東南アジアに輸出された電子製品の処理による健康被害や環境汚染が深刻です。消費者製品に含まれ る化学物質のライフサイクルを通じた管理が重要です。

 

D予防原則

 健康被害や環境汚染を防止するためには、科学的証明が不十分でも、有害性が疑われる物質は使用しないという対応が必要です。ナノ物質のように安全性評価の方法も開発段階の場合 には、予防原則に基づき使用を一時停止すべきです。

 

E代替原則 

 より安全な物質を使用することが重要です。漫然と同じ化学物質を使い続けるのではなく、より安全な化学物質があるかどうかを調査し、切り替えていくことが重要です。また、化学物質を使用しない手段も併せて検討する必要があります。

 

 

Fすべての関係者の参加(協働原則)

 環境問題を解決するためには、化学物質管理にもすべての利害関係者の関与、参加が必要です。政策決定の際には、市民の意見を取り入れるよう働きかけましょう。

 

G国際的協調

 化学物質は世界中に拡散し汚染をもたらすため、化学物質管理は日本単独ではできません。生産活動や市場経済のグローバル化の中で、EUREACHなど先進的な制度を参考にするとともに、国際的なルールに従うため、日本の化学物質管理制度を作る必要があります