NPO法人設立趣意書(2004年5月)

NPO法人設立趣意書  2004年5月

1、趣 旨

 物質的に恵まれた豊かな生活の中で市民の多くが「化学物質」に対し漠然とした不安を感じています。 「いったい身の回りにはどんな化学物質が、どれだけ存在しているのだろうか?」この問には誰も答えてくれません。 なぜなら誰一人としてその全体像を把握していないからです。 さらに驚くべきことに、今日多量に使用されている化学物質の実に 70% 以上は、人や環境に対する安全性データが十分そろっていないのです (1997 Toxic Ignorance, EDF) 。
市民が化学物質に対し不安を感じるのも無理のないことです。
これまで化学物質を社会がどのように管理するかは、もっぱら行政、産業界、学識経験者といった専門家に委ねられていました。 使われる化学物質の数も量も限られ、それらの有害性も比較的明白であった時代にはそれでも良かったかも知れません。 しかし、過去半世紀の間に状況は一変しています。化学物質の生産量は急激に伸び続けて、日々、新たな化学物質が創り出されています。
今や、一般の市民が積極的に化学物質のリスク管理に参加し、身の回りや地球全体の環境リスク削減に向け行動することが求められる時代なのです。
このようなとき、わが国で「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」が公布( 1999 年 7 月)され、 PRTR (環境汚染物質排出移動登録)制度がスタートしました。 事業者等が有害化学物質の環境への排出量及び移動量を自治体を通じて国に報告するこの制度は 2001 年度分から始まり、その集計結果が翌年度末に公表されることになります。 すでに、 2 回の PRTR データの集計結果が公表されています。
この PRTR 制度にはいくつかのねらいがありますが、市民にとっては化学物質のリスク管理に参加する上で非常に優れた手がかりを与えてくれるものです。 PRTR 情報を市民が積極的に活用することが、事業者や市民自らの有害化学物質の排出量を削減させる大きな原動力となります。しかしながら国が公表する画一的な集計情報だけでは一般市民にとって意味のある情報を読みとることは容易ではありません。また、人への健康影響から生態系への影響に至るまでの多様な市民の関心に応えるものとなるとも期待できません。
そこで、化学物質のリスク管理に市民が参加できるようにPRTR情報を使いやすいものにし、市民に向け PRTR 情報を中心とした化学物質情報を提供しようと問題意識を共有する様々な分野の市民団体等に所属する有志が発意して、 2002 年 4 月、「有害化学物質削減ネットワーク( T ウォッチ)」を設立しました。2003年 5 月には国から開示された事業者からの PRTR 届出データを検索できるウェブサイトを開設し、市民の立場から、市民に役立つ PRTR 情報を、できるだけ分かり易くホームページを中心に提供する活動を開始しています。 また、連続学習会や地域セミナーを精力的に実施し、 PRTR 制度の市民的活用に関する普及啓蒙も実施してきました。
私たちは、一人でも多くの市民が化学物質問題に関心を持ち、化学物質による環境リスク削減に積極的に参加することができるよう願っています。
そのため、私たちは市民に役立つ PRTR 制度の改善・普及と公表データの有効活用をめざして、 Tウォッチの活動をさらに拡大、充実させ継続的活動を強化し、有害化学物質の削減により、化学物質のリスク管理と環境汚染の防止を図り、 国民の健康と安全の確保に資するため、第3回総会を迎えるに当たって、有害化学物質削減ネットワークを特定非営利活動法人化し、 「特定非営利活動法人有害化学物質削減ネットワーク」を設立することにします。

2、申請に至るまでの経過

(1)「 有害化学物質削減ネットワーク」 準備会発足から設立総会(2001年6月11日~2002年 4月27日)まで

 平成 13(2001)年6月11日に3名(藤原、村田、中地)の呼びかけで、NGO・PRTR情報提供ウェブサイト研究会が発足した。
同年4月から施行された「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(化学物質把握管理促進法)による「 PRTR制度」を 市民が有効活用するために、インターネットを使って情報提供できるかどうか、調査研究しようと呼びかけられたもの、 このウェブサイト研究会には15名が参加した。
研究会は計 9回の会合が行われた。 欧米でのNGOの取り組みの報告や日本のPRTR制度の特徴などについて内部学習を積み重ね、 PRTR制度によって報告される化学物質の排出量や移動量のデータを市民が活用しやすくするための手法についての 研究をすすめた。
その結果、環境化学物質のリスクを削減するための活動や情報提供のために、趣旨に賛同する市民のネットワークを広げ、有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)という市民団体を設立する呼びかけを発し、設立への準備活動を実施。

(2)Tウォッチの平成 14(2002)年度の活動

 平成 14(2002)年4月27日に有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)の設立総会が開催され、代表に中地、副代表に村田、事務局長に藤原が就任する。
以後、運営委員会が中心になって、Tウォッチの運営を担い、 11回の運営委員会を開催。次のような活動を実施した。

  1. 「 PRTR制度の最新動向を聞く」連続公開学習会の開催(東京で、7月から4月まで計6回開催)、 PRTR市民セミナー(10月26日、大阪)、有害化学物質削減をめざす国際シンポジウム(3月8日、東京)などの 市民への普及啓発活動。
  2. 市民向け PRTR情報提供ウェブサイト開設のための調査研究。 運営委員会から推薦されたメンバーによるウェブサイト研究会を設立し、8回開催し、ウェブサイトの内容を検討し、 開設のための準備作業を行う。
  3. 講師派遣。 PRTR制度をどう活用するのか、国、自治体、企業などからの依頼で、講演会やセミナーに講師を派遣した。 合計計3名8件。
  4. 受託事業として、自動車工業会からPRTR情報公開に伴う自動車工場の評価に関する調査等を実施。

(3)Tウォッチの平成 15(2003)年度の活動

 第 2回総会を平成15(2003)年5月10日に開催した。運営委員会は15回開催され、次のような活動を実施した。

  1. 「身の回りの化学物質を減らそう」というブックレットを 3000部作成し、市民向けに普及啓発活動を行う。
  2. PRTR制度の普及啓発のための学習会、地域セミナーの開催。「PRTRデータを読む」連続学習会を計4回、東京で開催。神戸、名古屋、札幌、仙台で地域セミナーの開催。PRTR活用国際セミナー2回開催した。地方自治体のPRTR担当者、企業、NGOから取り組み報告を受けるとともに、PRTR制度の有効活用のためのリスクコミュニケーションを行った。
  3. 市民向け PRTR情報提供ウェブサイトの開設。ウェブサイトを5月31日から本格運用する。事業者から届出のあった、排出・移動量のデータ検索ができる日本唯一のウェブサイトとして、市民から広く利用されている。約1年間のアクセス数は4万5千件を超えた。ウェブサイトの運営のためにウェブ研究会を10回開催した。
  4. 講師派遣。国による PRTRデータの集計公表に合わせて、講演依頼が増えた。合計3名が17回、地方自治体、企業、市民団体などの講演会やセミナーで講演した。

  これらの活動を継続していくために、組織体制の強化のため、NPO法人化の必要性が強くなり、運営委員会で第 3回総会を機に、特定非営利活動法人有害化学物質削減ネットワークの設立を図ろうと準備作業を進め、 平成 1 6年5月8日開催の総会で設立を決議し た。

 平成 1 6年5月8日

 

特定非営利活動法人 有害化学物質削減ネットワーク
設立代表者 京都府京都市下京区河原町通正面下る
万屋町 342 番地
アパガーデンコート河原町 1102 号
中 地  重 晴

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