2006年度分PRTR公表データについて

Tウォッチ理事長 中地重晴

はじめに

本年2月22日、国から2006年(平成18年)度のPRTR集計データが公表されました。それを受けて、3月29日にデータ検討会を開催しました。Tウォッチ発足以来、毎年続けており、今年で6回目になります。国の担当者の話でもきちんと集計公表後に国から報告を受けたり、データについての学習会を行うところは地方自治体にも業界団体にもないとのことです。それなりに、Tウォッチの活動が定着していることを行動で示しているといえます。

届出排出・移動量について

今回発表された集計データですが、表1に届出排出・移動量の経年変化を示しました。 届出総排出量は昨年よりも1万4千トン減少し、24万5千トンでした。PRTR制度が開始された2001年から比較すると約2割減少したことになります。大気への排出量が毎年減少しているのがわかります。06年度は総移動量も減少しました。この2、3年中国の経済成長に引きずられるように、工業生産も活発になってきましたが、その関係で、廃棄物への移動量が横ばい状態で推移していましたが、06年度が6千トンの減少になりました。具体的には少数の大規模排出事業者の操業状態が変わったことで、減少してきたとのことで、事業者全体の努力とは違う要素によるものとのことで、今後も注意していく必要があります。

届出外排出量について

表2に届出外排出量の経年変化を示します。06年度は届出外排出量の合計が3万3千トン9.5%減少して31万5千トンと減少したことが特徴です。02年から03年にかけて届出対象事業者が年間5トンから1トンに猶予期間がなくなったときを除くとはじめての大幅減少となりました。特に、非対称業種、移動体からの排出量が減少したのが原因のようです。届出外排出量の推計方法の変化によるものも含まれているので、本当に減少したといえるのか、詳細に検討する必要があります。家庭からも5千トン減少しましたが、その原因は陰イオン系合成洗剤の原料であるLASの大幅な減少があげられます。05年から引続き、LASから非イオン系合成洗剤AEへの転換が行われ、家庭用の合成洗剤の中身が変化していることがわかりました。

経年変化の評価のために再計算を

表2を見てもらうとわかるように、02年から03年にかけて届出外排出量が20万トン近く減少しています。これは前述したように届出事業者の規模要件の猶予期間がなくなったためですが、表1では02年から03年には変化は見られません。約20万トンの化学物質の排出量が消えたというミステリーです。届出外推計方法が毎年変わり、推計結果も大幅に変化するのでは、有害物質の環境中への排出量を把握しようとするPRTR制度の目的が達成できません。集計公表が始まって6年を経過しました。昨年は化管法の見直し合同会合が開催され、PRTR制度についても見直し提案が中間とりまとめで行われました。一度過去6年間の推計方法を統一し、推計値を再計算して、本当に届出外排出量が減少しているのか、評価する時期にさしかかっているといえます。市民の不安や不信を招かないように、届出外推計値の経年変化を評価する行動をとるべきだと、引き続き国に要求していきたいと思います。

今後、PRTR集計データを詳細に検討し、本年度の地域セミナーに活かしていきたいと考えています。

表1届出排出・移動量の経年変化(千トン)
06年 05年 04年 03年 02年 01年
総排出 245 259 270 291 290 314
大気 217 225 233 250 256 280
公共水域 11 11 11 13 12 13
場内土壌 0.14 0.23 0.26 0.25 0.30 0.30
場内埋立 18 22 25 27 22 20
総移動 225 231 230 240 217 223
廃棄物 223 228 227 236 214 219
下水道 2.3 2.7 3.0 3.1 3.0 4.0
表2 届出外排出量の経年変化(千トン)
06年 05年 04年 03年 02年 01年
合計 315 348 357 342 589 585
対象業種 53 59 62 55 251 322
非対象業種 99 111 107 105 126 105
家庭 50 55 60 63 62 69
移動体 113 124 128 119 154 88

(2008年3月)

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