GHSとは GloballyHarmonizedSystemofClassification and Labelling of
Chemicals
の略称で、「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」と翻訳されています。
化学製品に含まれる化学物質の爆発性や燃焼性、人体への毒性、生態系への影響など、有害性の程度を9クラスに分類し、その危険度を誰にでもわかるように知らせるため絵(シンボルマーク)であらわし、製品に絵で表示する制度です。
2003年に国連が世界共通の制度として提案し、2008年までに加盟各国で法制度化するように勧告しています。日本では2006年12月から制度化されましたが、化学物質を扱う労働現場だけしか対象になっていません。
GHS制度ができた背景
1992年の地球サミットで合意されたアジェンダ21で、第19章「有害かつ危険な製品の不法な国際取引の防止を含む有害化学物質の環境上適正な管理」のなかで提案されたプ□グラムに6つのプ□グラムが提案されました。
2002年の持続可能な発展に関するサミット(WSSD)では国際化学物質管理における戦略的アプローチ(SAlCMサイカム)が採択されました。SAlCMでは2020年には化学物質による健康、環境への影響を最小にするという目標が定められました。
EUでは、2007年6月から新しい化学物質管理制度である化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACHリーチ)が施行されています。
アメリカや日本でも化学物質規制と管理の制度を見直す動きが進められ、化学物質の安全管理に関して世界共通の制度が必要とされてきました。
世界共通のシンボルマーク
私たちの生活は多種多様な化学製品の使用によって成り立っています。化学製品の国際的な取引が広がるにつれて、その製造、輸入、使用、廃棄の各段階ですべての人が化学物質を安全に取り扱えるよう、統一された制度が必要となってきました。
以前からも貿易品の輸送に関する国際条約などで、共通の制度が模索されてきましたが、言語が違っても理解できる共通のシンボルマークとして絵表示が考えられてきました。
有効活用できるるGHS制度に
国連勧告では、医薬品、食品添加物、化粧品、食品中の残留農薬はGHS制度の適用範囲外ですが、その他の消費者向け製品、たとえば、殺虫剤、合成洗剤、消臭剤、塗料、接着剤など、化学物質が使用された日用品の有害性の程度が表示されることになっています。
日本では、2006年12月に労働安全衛生法にGHS制度を導入する改正が行われました。しかし、労働安全衛生法で絵表示が義務づけられるのは93物質、MSDS(化学物質等安全データシート)の作成義務は634物質と限定されています。全ての化学物質を対象とする国連勧告での制度とは異なっています。日本政府は法規制対象の約1500物質の分類作業を進めていますが、国民の安全・安心のためには、国連勧告に基づく制度を作るべきです。
GHS制度の導入は、市民生活の安全・安心を支える情報を提供します。
日本の化学物質管理制度は、使用目的や用途によって管理官庁が分けられ、それぞれ省庁ごとに個別の法律制度が作られています。化学物質の安全性を総舎的に管理するための統一した制度とはなっていません。
消費者向け製品の表示制度は法制度によってばらばらで、使用されている化学物質の種類や量の表示、安全性評価などは義務付けられていません。 GHS制度の導入は、
1.化学品の危険から被害を予防するために、消費者が安全なものを選ぶ判断材料を提供します。
2.製造者に対し、より安全な化学物質の使用、製品の開発を促すことになります。
3.日本が制度化すれば、輸入品への表示を通じて、制度の国際的拡大に寄与します。
(環境省パンフより)
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◆化学物質の安全な使用は、安心して暮らせる市民生活の第一歩です。GHS制度の消費者製品への導入を求める広範な世論を作りましよう。
GHSを活用して職場の安全を
労働安全衛生法が改正され、GHS制度が導入されますが、この制度は、
1.原材料中の化学物質の安全な取リ扱い、使用のために判断材料を提供します。
2.原材料供給者に対し、よリ安全な化学物質の使用、製品の開発を促します。
3.日本が制度化すれば、輸入品を通じて、国際的な制度の充足に寄与します。
◆化学物質の安全管理は、安全に働くための第一歩です。職場の安全のためにGHS制度を学びましょう。