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PRTR(環境汚染物質排出・移動登録)って何?
Tウオッチ
中地 重晴
村田
おはようございます。私は本日の司会をつとめますTウオッチの村田と申します。日曜日の朝早くからご参加いただき、大変ありがとうございました。午前中の企画は入門編、PRTRについて知らない人に基礎的なことをやさしく理解していただく。槌田さんが急用で来れなくなったため、代表の中地が通して話します。
中地
おはようございます。Tウオッチの中地です。Tウオッチのできたいきさつは、槌田さんの資料のスライドの5枚目をみてください。PRTR法の施行に関連しています。PRTR法制定はOECDの理事会勧告(1996年)がきっかけです。OECDは汚染物質の排出と廃棄物としての移動量について、記録を残して市民に公開する制度を、加盟各国は導入しなさいと勧告を出しました。それで日本でもPRTR法ができました。Tウオッチの設立は2年前から準備をはじめ、昨年の4月に正式発足しました。
PRTR制度の概要
制度のしくみ
PRTRの法律の骨子。槌田さん資料のスライド7枚めをごらんください。化学物質を使っている事業者は、やはり企業が多い。事業者は4つの排出量(大気、水系、土壌、埋め立て)と2つの移動量(廃棄物としての移動量、下水道への移動量)を企業は1年間記録する。記録をしたものを行政に報告する。都道府県を経由して国に報告をする。国がとりまとめて公表する。
2001年度分のデータが去年6月末までに届け出、公表は3月20日。全国で100万トン排出・移動していることがわかった。新聞にはぜんぜん載らなかった。イラク攻撃の日だったため。その後、一部特集を記事を組んで掲載されたが、皆さんの目に届いていないのが現状です。
対象物質・対象業種
PRTRの対象物質は槌田さんの資料のスライド6枚目にあるように、354物質です。
日本のPRTRには大きく2つ特徴があります。
そのひとつは届け出外の排出量も国は集計するということです。
21人未満の事業所は届け出対象外になっています。
また最初の2年間は年間取扱量が5トン以上なので年間取扱量5トン未満の事業所も推計しています。建設業、病院、農業、ゴルフ場も届け出から省かれていますが、国が推計をして公表をします。家庭(防虫剤など)、移動体(自動車の排ガスなど)も推計しています。推計されている分野は非点源といっています。
もうひとつの特徴は、届け出業種に特徴があることです。届け出対象は23業種ですが、製造業はさらに細かい指定があり、それをあわせると45業種が対象になっています。メーカー以外の下水道業、クリーニング、燃料小売業、大学、県などの環境科学研究所なども対象義務があるところが特徴です。
Tウオッチのブックレットをみてください。
PRTRの基本的構造は先ほど説明したように、事業者が報告したものを国が情報公開するということです。公表をするので、情報は市民も使えます。近隣の工場の情報を仕入れることができるのです。行政も、この情報をみて多くの排出のある事業所に行政指導することができるようになります。
国の情報提供では市民の知りたいことができないということで、Tウオッチを結成しました。
PRTR法の第1回公開データの特徴
PRTRの第1回の情報は3月20日、国が公表しました。環境省等のHPでも同日公開されました。国の情報は都道府県別でわかりにくいので、Tウオッチでは市民向けにHPをつくり、個別事業所も検索できるにしました。横浜国立大学の浦野先生が代表をしているエコケミストリー研究会では、市区町村別、リスクスコアで色塗りの地図を提供しています。
アクセス件数ですが、Tウオッチ(5/31〜)が2万2000、エコケミストリー研究会が(7/22〜)1万2000。環境省も2万件ぐらい、NITE(製品評価技術基盤機構。経済産業省関係の独立行政法人でPRTRの届け出のマニュアルの提供や届け出データの信頼性などをチェックしている)が10万件ぐらいとのことです。まだアクセス数は少ないと思います。
届け出事業所は3万5000件。その半分は燃料小売業でした。
Tウオッチの届け出情報の公表についてのコメントを紹介します。
都道府県別、業種別ではなく地域の環境リスクの評価を知りたい。
国の集計結果の概括的な内容でどんなことがわかるのかについては、ブックレットの7ページ以降をみてください。届け出事業所と+届け出外をあわせると、トルエン、キシレン、塩化メチレン(ジクロロメタン)が排出量が多い。これらは大気から排出されています。
6番目にある物質は陰イオン系界面活性剤。シックハウスの原因のホルムアルデヒド、防虫剤のパラジクロロベンゼンも排出量が多い。
パラジクロロベンゼンは調べてみたらダイオキシンが含まれていることもわかっています。パラジクロロベンゼンが2万トン家庭から排出されている。いままでこのような数字は出ていなかったのです。防虫剤ということもあり、空気にひろまらないと効果はないのですが、家の中にこれぐらいひろがったということがわかる数字なのです。
事業所からの排出は多くは大気からです。トルエン、キシレンが多い。中部地方はトルエン、キシレンの排出は全国的にも多い。トルエン、キシレンは塗装関係で使います。業種的に一番多いのは当初の想像では化学工業と思われていたが、実は輸送用機械製造業が一番多い。塗装。印刷、紙パルプ製造業も多い。
都道府県別にみてみましょう。排出量を単純に合計して意味があるかと思いますが、排出量を合計した数字が公表されています。愛知、静岡、東京、神奈川、山口、福岡が多い。太平洋工業ベルト地帯からの排出が多いことがわかるが、県ごとにいわれても詳しい情報はわからないと思います。
国はPRTRの情報を公表をしたといっているが、実際は情報にどうアクセスするのかもまだわからないのが実状です。
Tウオッチでは、市民にPRTR情報にアクセスするようPRし、地域の関心とひきつけて活用するような活動をおこなっています。
NGOがインターネットで情報提供する意義
槌田さんの資料のスライド10枚めをごらんください。PRTR制度は世界的には十数か国でできていますが。日本は取りかかりが遅く、OECD加盟国中では後発です。ただし対象物質数では他の国より多い。
アメリカやイギリスではNGOが政府の情報をもとに地図情報でわかるようにしています。郵便番号を入力すると特定の地域の工場の排出量が検索できるようになっています。
市民向けということでつくったTウオッチのホームページを紹介しましょう。
槌田さんのスライド11枚目をごらんください。国は個別事業所情報を公開していません。個別事業所は開示請求で入手できます。書類で請求すると1事業所あたり1枚20円の手数料なので、3万5000件すべて請求すると70万円になりますが、PRTR法では、FDや、CD−ROMで入手すると安くなります。CD1枚1090円の手数料です。霞ヶ関の窓口に行けばすぐ入手できます。地方からですと交通費かかりますが、郵送でも対応してくれます。
Tウオッチでは個別事業所のデータを検索できるように無料で公開しました。
エコケミストリー研究会はリスクスコアという独自の考え方を示しています。槌田さんの資料の12枚目をごらんください。
化学物質の危険性は暴露量と有害性のかけあわせて、どれぐらいの害があるかを評価します。同じ物質の排出量でも北海道と愛知県では面積が異なりますのでどれぐらいの影響があるか異なります。それで可住地面積で割っています。それから環境基準の逆数をかけます。環境基準の小さいものほど汚染は大きくなりますので、環境基準の逆数をかけています。それで比較をしたらどうかという提案をしています。
家庭も大きな化学物質汚染源
槌田さんのスライドの13枚めでは環境への排出が多かった物質について、事業所と事業所以外の量を分けて説明しています。これはTウオッチのブックレットの7ページめと同じ内容です。化学物質の多くは事業所から出てくることがわかります。
槌田さんのスライドの14枚目では、家庭からの化学物質の排出が示されています。3番目のPOEはP4系の界面活性剤でシャンプー,ボディソープに使われています。5番目も界面活性剤で、化粧品によく使われています。エチルベンゼンは塗料、接着剤に使われています。量は少ないがフロン類も排出されていることもわかります。HCFCは代替フロンです。第二世代フロンといわれているものです。しかし地球温暖化係数はCO2より大きいので、モントリオール議定書で段階的に生産・使用を制限することになっています。冷蔵庫、クーラーの冷媒として使われています。家電リサイクル法で回収がされていますが、回収はまだまだわずかです。回収している一方、PRTRの情報では回収もれがあって外に出ていますと公表しているのは不思議な印象ももちます。Tウオッチではもっと回収をという呼びかけもしています。
きのうの関西のセミナーでは、フロン対策についてメーカーから聞きました。名古屋ではトルエン、キシレンの排出が多く、トルエン、キシレンの排出は輸送用機械からの排出が多いということで、トヨタ自動車に来て来てもらいました。午後はトヨタ自動車のほかに、愛知県、三重県など各行政からも報告してもらいます。データの集計、解釈、それをもとにした新たな政策について説明してもらいます。
PRTRの特徴的な話として移動体の話をします。槌田さんのスライドの15枚目をごらんください。
ホルムアルデヒドは90%が移動体からでてきます。シックハウス、シックスクールの原因物質ではあるが、家庭ではなく排ガスが発生源ということです。化学物質過敏症の方が交差点、自動車の多いところはちょっとというのは、排ガスのホルムアルデヒドによります。
トルエン、キシレンはガソリンの不純物です。アセトアルデヒドは燃料が燃焼の過程ででてくる不純物です。ダイオキシン類も少ないが出ています。
農薬の推計を見てみましょう。上位3物質はくん蒸剤です。大気へ排出されています。
中部地方の排出の全国的な位置付け
槌田さんのスライドの17枚目以降で中部地方の位置付けを見てみましょう。
大気への影響(農薬を除く)をみると、4番目に愛知県、10番目が静岡県が入っています。
水への影響では製紙業の影響があるためか、静岡県がトップです。
水生生物への影響では愛知が2番目、静岡が6番目にあります。
農薬の場合、使っている農薬の種類で順番が変わることもわかります。
人に対しての有害な物質は大気への排出が多い。
リスクスコアでみると、上位物質が排出量の上位とは異なります。
六価クロムは塗装から出ています。アクロレインやホルムアルデヒドは自動車排ガスからです。1,3ブタジエンは、自動車排ガスと化学工業が原因です。三重県が第5位に出ています。ダイオキシン類は5番目が愛知県になっています。
この順位が皆さんの感覚と一致しているかどうかとは別の問題です。
三重県は砒素で5番目、ほう素が1番目になっています。ほう素は特定の事業所でガラスの原材料としてほう素を使用しているので出てくるのではないでしょうか。三重県の担当者に聞いてみましょう。
個別事業所データを調べてみよう
どういう事業所から排出量が多いのかを調べるときには、Tウオッチの検索が役に立ちます。
ブックレットの12ページ以降をごらんください。ホームページのトップページから「PRTR検索」をクリックすると検索のトップ画面が出てきます。そこから企業名、事業所名、化学物質名で検索できます。市町村別の連絡窓口もつくっています。
クロムで検索してみると、クロムの名前のつく化学物質の一覧が出てきます。
比較をクリックすると、クロムを報告している事業所のリストが出てきます。
都道府県で住所を入れると、そこで届け出の報告をしている事業所の名前が出てきます。排出量をクリックすると、何をどれぐらい排出しているのかという内容がわかります。
ダイオキシン類は全国5727件。総排出をクリックすると、ソートされて多い順に並び替えます。トップは盛岡の一部事務組合。9万7200mg-teqとわかります。
このようにTウオッチでは、自分の地域でどういう化学物質が問題なのかわかるようになっています。
エコケミストリー研究会のほうでは、スコア係数を提案し、市区町村別にどういう物質の排出が多いか少ないか分かるように地図で示しています。
ぜひ家に帰ってインターネットでみてください。
PRTRデータの活用で地域のリスク削減を
PRTRの情報は事業所からだけではなく家庭や移動体からも出ています。家庭や移動体からの数字と事業所の情報を総合してみていかないといけないだろう。とくに家庭からのPRTR情報は市民にも活用できるものです。
農薬の主成分はわかっていますが、いままでそれ以外はわかりませんでした。PRTRの推計で主成分以外の情報がわかるようになりました。国が企業にヒアリングをし、農薬でどういうものが使われているのかを調べています。たとえばキシレンが30%使われていることがわかりました。
またパラジクロロベンゼンのように、家庭の中からどういう有害化学物質が出てくるかもわかります。自分たちの暮らしのあり方を考えるきっかけになるのではと期待しています。
PRTR情報から総合的に判断して、地域の環境リスクを知ることができるのではないかと思います。また、化学物質の排出源が明確になります。シックハウスの対策のためにどのような製品に気をつければよいのかがわかります。塗料、接着剤、化粧品などの使用を考え直す材料になります。
市民としても有効に活用していこうとTウオッチは活動しています。皆さんも一緒にPRTR制度の活用をして、地域の問題解決に役立てていっていただければよいのではと思います。
PRTR情報は正確か
フロア
PRTRについて詳しくないが、勉強になりました。総量がわかったが、こういう部分がかけているという部分がありましたら、教えてほしい。ごみ問題をやっていると企業はけっこううそつきだとわかります。県条例の説明会に行きましたが、こうしたら届け出しなくてすむなどと話もしていた。PRTR情報の正確性についても気になります。
中地
事業所の情報の正確性ですが、計測しないでもよいとなっています。何種類か計算方法が示されています。たとえば物質収支。差引どこかで消えているものを排出量として届け出てよいのです。
いままでの経験からこれぐらい出ているという係数を出しそれをかけて出しても良い。推計マニュアルを業種ごとに作っています。それをもとに計算して出しています。国としては大雑把なところをつかむことでやっています。
結果をみる市民としては正確にしてほしいと思いますが、それはこれからの問題です。
ダイオキシンには実測値がありますが、一番良い状態の数字です。それが正しいのかというとどうか。計測方法で年間のデータを正確にするのもこれからです。
また年間5t以上使っていることですが、誰が使っているのかは自主申告です。業界、他の法律でこれぐらいの規模をつかっていることがわかる場合は、行政も出せといえます。
実際は排出量が小さいのに、申告してしまうと届け出外のなかにダブルカウントもされていることもあるでしょう。
下水道業については問題もあると指摘しています。下水道では受け入れている水を差別していません。354物質を本来ははかって報告をしてもよいのですが、下水道法にのっているもののみを報告。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩(LAS)は、国の推計方法は下水道は事業者として届け出します。下水道の普及していない地域は国が推計(川に流れたとして)出荷量から推計しています。LASの出荷量10万トン、下水道普及していない割合は3割で、3万トンとなるわけです。下水道業界でも今後ははかるようにしていってほしいものです。そうすると今後はいまより1〜2割減ると思います。
界面活性剤は90%分解されているといますが、あと1割がまだ補足されていません。
届け出対象外の国の推計、統計データがないものははずされています。パブリックコメントの時、Tウオッチからもこの物質を対象にしてほしいという意見を出しました。たとえばオルトジクロロベンゼン。うじを殺す薬品ですが、昨年はデータがそろっていなかったので集計されていませんでした。今年は業界が協力してデータを得られたので集計することになりました。たばこの煙も集計されていません。
国が自発的にするのではなく、パブリックコメントを出していくことが国を動かします。PRTRの根本は企業の自主性です。公表されたものについて多くの人が関心をもって正しいか正しくないか、企業や行政に質問することをしていかないといけません。PRTR情報は自分たちの活動の役に立つはず。有効にいかしてほしい。
村田
結局PRTRは何がわかったのかわからなかったのか、午後の総合討論でうかがう予定です。午後もひきつづきご参加ください。他にはご質問はありませんか。
毒性情報はどうやって入手?
フロア
排出量に対してはデータと出してわかった。物質がそれぞれ毒性をもっている。基本的な知識をもっていないとこの情報の意味がわからない。
中地
354物質についてはいくつかの行政機関が毒性情報をインターネットで公開している。国立環境研究所、製品評価技術基盤整備機構、エコケミストリー研究会、神奈川県など。インターネットを使える方はリンクを生かすと入手できます。
PRTR法ではMSDS(製品安全データシート)をつけることも義務化しています。塗料を作った製造者はMSDSをつけて販売することになっています。1%以上含有している物質の情報、その物質の毒性データ、海外の規制、取り扱いの注意事項などが書かれています。しかし最終の消費者にはMSDSをつけなくてもよいことになっています。取扱説明書はMSDSほど細かくは書かれていません。
市民サイドでは何かあればMSDSそのものを見せてほしいといえるのではないか。
シックハウス関係では建築家でどの合板を選ぶか、MSDSを取り寄せて良心的な建材を選ぼうとしている人もいます。
工場は副成物も申告?
フロア
工場が排出している部分はどう調べているのか。製造過程で反応でも段階はある。
不純物や、反応してできる物質まで対象なのか。
中地
基本的には工場の自主申告です。ただプラントを設計させるとき反応させます。気体、液体、不純物としてどのようなものが出てくるか、調べています。どこまで正確に調べられているのかは問題がありますが。
同業他社を比べてこちらが出ていないのはおかしいのではないかと指摘することをしましょう。主なものは基本的にわかっています。法的規制のあるものはわかるので。
また354ぐらいの200は農薬ですので、出てくる可能性があるものはしぼりこみはできます。もちろん、それ以外のものが出ている可能性はあります。いろいろな人がみて指摘しないといけない。
なぜ可住地面積?
フロア
エコケミストリー研究のはわかりやすいが、可住地面積でわるのは微妙では。どの程度、地域で利用できるデータなのか。
中地
山林原野は人が住んでいないので除外しています。これは一つの考え方です。濃度予測をしてそこを住んでいる場合、総合すればこれぐらいの濃度になると予測しています。その濃度に毒性係数をかければいいのだが、そう簡単にはできない。NITEのホームページでは産業総合研究所の中西先生のグループのほうで濃度を予測するプログラムをつくっていてできたものは公開もしています。すべての物質でつくるのは大変なので、簡易に可住地面積でやってみようということです。
環境モニタリングはやっているがどの場所で行うか、若干問題になっていたので、今回のデータを参考にしてこの場所ではかりましょうという提案もできます。きっかけづくりとしてエコケミストリー研究会では簡易な方法で出されているということとして理解してほしい。これが絶対ということではなく仮説。これからもっと良くしていくのが課題です。
なぜ日本ではアクセスが増えない?
フロア
PRTRは測定をして出す値ではない。環境基準、排出基準があってはからないといけない、それをしないと法律で罰せられるという話ではない。市民が何をやっていくかということだと思う。リスクスコア、非常に貴重なものだと思う。どこの都道府県もトルエン、キシレン減らすかを考えている。しかしほんとうはリスクスコアの高い物質を減らすことが良いのではないかといっている。ふつうは量が多い物質を減らしたらいいというとなっているがそうではない。そこを市民団体がわかって危ないものを微量かもしれないけど、減らしていく(企業、市民団体も)ことが大事。
個別事業所を検索しているのに、市民が動いているのが見えない。なぜ日本では広がろうとしないとか見えない。どういうふうすればよいのか説明されたらいいのでは。
中地
化学物質対策の優先順位をつける意味では、リスクスコアを見ていくのが重要。それを理解していただければありがたい。
市民がどう使うのかは課題です。私たちにも問い合わせもほとんどありません。
松葉でダイオキシン測定をしているグループの方で発生源を調べようとTウオッチのデータを使ってみたという人がいました。調べてみたら堺の鉄鋼業からダイオキシンが出ていた。それを知らなかったので知ってびっくりしたという印象をもったということでした。まだまだ個別のデータを活用されている事例は少ないと思います。
アメリカでは企業とかけあうのに、アメリカのPRTR制度のTRIの情報をつかっていろいろ議論をしています。日本は運用の仕方について情報を出していません。市民がこう使えるよということも気づいていないのではないか。
村田
市民サイドの問題もNGOの問題もある。EDのスコアカードは1987年から開設された。最初の2週間でアクセスが200万件あった。Tウオッチのほうは3か月で2万。なぜこのような差がついたのか。
いろいろな問題が重なっている。化学物質の問題を環境問題としてとらえているNGOが少ない。マスコミの取り上げ方も全然弱い。記者の理解が不十分なので迫力のある記事がかけない。
PRTRという名前も悪い。とりあえずはこの制度の存在を知ってもらうことから始めないと、始まらない。
2. 三重県のPRTR報告
中西健司・三重県環境部化学物質対策チーム
三重県 昨年度届け出された三重県のPRTRデータの概要について説明します。三重県内の排出・移動量の届け出状況。6月末締め切りだが、実際は8月末まで受けつけました。公表は3月にしました。
排出量合計は約1万 6000トン
三重県内ではPRTR法対象物質のうち 160物質が届け出られた。事業所数は676事業所(全国3万5000弱)です。その半分はガソリンスタンドでした。事業所数がどうかというところは、排出にむすびつかないと思います。
排出量の合計は約1万 6000トンでした。
三重県の人口は 200万人に満たない。事業所の数は全国の2%、排出量としては全国の3%。人口のわりには多い県なのかなという印象です。排出量のほとんど大気中です。移動量は廃棄物にはいるものがほとんどです。
内訳は物質ごとにあまり考えていません。排出量という数字が記載されているだけ。大気は溶剤がほとんどです(図2)。
物質の順位。全国としいてちがうのは第5位に全国は鉛があるが、三重県は 14位か15位(表1)。県内の事業所から問い合わせがあった。なぜ鉛関係が少ないのかいわれた。そのときには即答はできなかった。大手の企業には鉛フリーはんだを取り入れているという話を聞いているが、三重県に限った話ではない。理由はわからない。
四日市に集中していなかった排出状況
三重県の行政区画をあとで地名をいうので示します(図3)。三重県でいちばん工業がさかんなのは、海軍の燃料廠を払い下げで石油化学コンビナートをつくった四日市市だ。交通の軸は伊勢湾ぞいに国道23号線、近鉄名古屋線、宇治山田線、もう一つは東名阪高速、名阪国道。亀山から奈良、大阪のほうにも交通の軸があります。
私はこの4月からPRTRの担当になりました。個人的には四日市が半分占めているのではないかという印象だったが、県内で分散しているという印象を受けました。
図4で地域別、四日市+三重郡。鈴鹿市+鈴鹿郡、市町村別に割ったものを示します。四日市の石油化学工業が多いのだが、伊賀地域(上野市、名張市)がけっこう多いなという印象を受けました。鈴鹿市、本田技研の工場があります。最近、亀山市など、工場の立地がさかんになったからだろうか。
PRTRとは関係ないが、三重県の工業の状況を示した(図6、7)。私は四日市市で生まれて育ったので三重県の工業は化学工業と思っていたが、化学工業の割合より自動車、機械器具、電機機械工業が半分ぐらい占めています。時代は変わっていると思いました。 化学工業は平成7年からどんどん下向き。産業構造がそのままPRTRの排出移動量に出ているのかなと統計をみて感じた。
三重県の説明としては以上として終わります。
村田
今の発表についてご質問などありましたらお願いします。
フロア
三重県の現状はよくわかったが、環境政策にどのようにお使いになるのか。
三重県
はっきりいっていまのところ活かす計画はない。役所の事情もある。PRTRを扱う部署と大気、水を扱う部署はわかれている。大気、水を扱うところはすでに規制をしている。どう活かしていくか連携がまだとれていない。まだいまの時点ではデータをいかしてどうするかは検討していない。
村田
県の発表に対して事業者、一般から意見や問い合わせがあがったことは?
三重県
先ほど紹介した鉛の話。週刊誌の記事で三重県から砒素が多かったという記事に対して「どうしてか。ガラスをつくっている事業所はちゃんと報告を出しているのか」という問い合わせがあった。
3. 岐阜県のPRTR報告
松井康雄・岐阜県健康福祉環境部大気環境室
岐阜県 岐阜県はお手元の中にも資料はない。申し訳ありません。データですがメモをお願いします。届け出物質数は 119、事業所数816、排出量・合計1万2500トン、排出量9000トン、移動量3500トン。大気中への排出が8801トン、廃棄物としての移動量が3356トンです。
二硫化炭素の排出が多い
排出の多い物質はトルエン、二硫化炭素(CS2)、ジクロロメタン、キシレン、トリクロロエチレンの順でした。
事業所の排出からいくと全国の 2.3%ですが、数字はそれが多いのか少ないのか、いいか悪いか全然わからない。
愛知県は条例で解決されたが、取扱量の報告がないのはまさに法の欠陥だと思う。たとえば大気中に 10トン放出している。1000トン扱っていて放出しているのか1万トン扱っていて放出しているのかでは違う。国はなぜこれを報告させないのかわからない。行政は、企業がどういうように削減しているのか、分母がわからないようではどうしようもない。それぞれの都道府県で条例をつくらなければいけないということは、馬鹿げている。
岐阜県の排出量で特徴があるのは二硫化炭素。県内に大手のセロファンの工場がある。紙系の原料に二硫化炭素を加えることによってやわらかくする。使用量の半分くらいが大気に排出されている。この工場が全国一のシェアをもっている。セロファン製造から排出される二硫化炭素の全国の排出量の7〜8割をこの工場が出している。
PRTRの対象物質 354の中にいわゆる塩酸、硝酸、カセイソーダなど入っていない。それらは危険物や毒劇物としての法令規制はある。消防法などの規制はあるが、PRTRの報告対象になっていない。
岐阜県の届け出事業所の 816事業所のうち360はガソリンスタンド。どの都道府県でも4割以上はガソリンスタンドだろうと思われる。
PRTR法で成分把握が前進
PRTRの情報は削減努力をどのように判断するのかに使いたいが、むずかしい。個人的にはPRTR制度を高く評価している。
注目していいのは、PRTR法でMSDS制度が始まっていることだ。
いままでは、工場が何か薬品を流してしまって魚が浮いたとき、何(化学物質)で死んだのか、その薬品の中に何(化学物質)が含まれているのか、工場でも解らない。
製品名も商品名もわかるが、その成分がわからない。製造メーカーのマル秘事項。とくに成分の配合は企業秘密で教えてもらえない。いままでは「大至急分析してください。有害物質が入っているかどうか検査してください。」と薬品を流した企業に言っていた。それが、MSDS制度により、分析しなくても成分が解るようになった。
MSDSがはじまってこの部分がフルオープンになった。行政の公害対策をしているものにとっては大きな出来事だ。
個別事業所データの全面公開だが、 ISO14001の取得と並行しておこなわれているので企業の意識がずいぶん変わってきたと思う。かつては企業には、また、行政にも少なからず は 隠蔽体質があった。企業の立場では、『できれば隠したい。』、とくに地域の方、NGOの方に話す場合、都合の悪いことは後ろにおいてしゃべるというところが確かにあった。その体質が大きく変わってきた。
協定などで地域対話の推進対策を強化
いま申し上げた数字(=排出量等のデータ・発言者注)が多いか少ないかわからない状態で、「今後の対応」について何を話すことができるのか。今後どういうことにもっていけばよいのか。
予算化されてはいないので、「こういう事を考えております」、「こういうことでいきたいな〜」でお話する。
Tウオッチのブックレットの 22ページに「もっとコミュニケーションを」とある。リスクアセスメント、リスクマネジメントがあり、リスクコミュニケーション(リスコミ)がある。
どこにどういう事故の発生可能性があるかまっさらなめで見る(リスクアセスメント)。どうすれば防げる(マネジメント)。従来はここまでで終わっていた。行政や企業は説得型の話し合いをしていた。「こういうことだから大丈夫」等々だった。
リスコミはちょっとニュアンスが違う。フィフティフィフティで「素朴な疑問を言ってください」ということだ。説明者側は絶対説得しないで真剣に耳を傾けることが求められる。ピント外れ、的外れな質問があるが、それがあたりまえと受け止める。すべてのことについて、誠意を持って取り上げてキチッとお話をする。「説明」はしなければいけないけど、「説得」はしてはいけない。お互いに「ここまでやっていればいい。」、「でもここまでやってほしい。」などの対話ができるといい。
リスコミニュケーションを岐阜県で導入にしたい。リスコミ推進にはおおきなファクターが2つあると思っている。
ひとつは企業の姿勢。だいぶオープンな体質に変わってきた。『出口が見えてきたかな。』と思う。岐阜県では環境保全協定の案を考えている。
中身は、例えば、ある企業の排水の基準が 100であるとすると、それを守るためには維持管理上の目標がある筈で、100を守るためには、ふつう60とか70とかを維持しようとしている。その目標を設定し、さらに将来目標を決めよう、5年後には50にしようなどの将来目標を設定する。地球環境の二酸化炭素、グリーン購入などの目標値を定めていきましょうと。それを事業所と市町村と県の三者で協定し、全面公開しましょうという内容。これが守れなくてもペナルティはない。「もうワンランク上をめざしましょう。」ということ。事業者へのアンケートでは180の事業所のうち7〜8割がOKといっている。それだけ企業の姿勢は変わってきた。環境が変わってきていると感じる。
もうひとつの大きなファクターは、皆様方あるいは地域の方。(環境保全に関する知識を)企業と同じレベルに達していただきたい。PRTRについて、危険物の規制について、排水の規制について、等々の理解を企業と同じレベルにまで上げていただきたい。そこまで行ってはじめて本当のリスコミができる。4日コースで午前・午後かけて、環境保全のなにもかも、公害や地球環境について知識を上げていただくこと(講座の開催・・発言者注)を考えている。それができて初めてリスコミができる。
集会などでも声の大きい方がいる。「反対!」と言う。それで話ができなくなる。「説明を聞いたらおしまいだ」ではリスコミができない。不安はわかるが、ある程度世の中の公害関係、環境関係の規制、そして、それに対して企業がどこまでやっていて、というのが解って、初めて同じベースにのる。
企業の人も本当に解っているのは 管理 環境部門の課長やら担当者層。経営者層はほんとうに解っているのか。そういう人にも解ってほしい。
岐阜県としては、その講座を事業化してなんとかやっていきたい。あまりお金はかからないかもしれないと思っている。
フロア
リスコミについて明確なのですばらしい。環境保全協定はすべての企業がむすぶものか。
岐阜県
前提として公害防止協定。法律を補完するもので大概どこにもある。県は立ち入り権限をもっている。市町村には排水などの立ち入り権限がない。公害防止協定のなかで、市町村に立ち入り権限を認めさせている。その協定の中に目標値もあるが、明確な目的をもった目標ではない。地球環境やダイオキシンに関する目標値もない、昭和 40年代の後半のままの内容になっている。
対象にしたい事業所は排水基準、排ガス基準が適用される 1200〜1500事業所である。将来的にはそのすべてにいきたい。現在、岐阜県内に96市町村あるうち、47〜48市町村が500弱の事業所と公害防止協定を結んでいる。これを新しい環境保全協定に締結しなおそうと呼びかけても、市町村からは、「市町村合併で調整事務が多く、今はそれだけの時間がない」と文句をつけられている。
フロア
二硫化炭素。データが間違いではなくて、正しいのか。正しい場合、大気汚染防止法の規制対象ではないと思うが、岐阜県としての指導は?
岐阜県
データは正しい。今後どう削減をしていくのか確認をしている。8ラインか 10ラインのうち半分は回収装置をつけた。後の半分も今年度中に回収装置をつけたいと言っていた。回収はそう効率よく回収できるものでもない。しかし、半分に装置をつけたのもPRTR法(でデータを公開される)のおかげ。それがなければいまも排出し続けていたかも知れない。
フロア
取扱量がないと削減努力をみれない。どれだけ悪いから削減してほしいといえないといえないのでは。出している排出量が環境に悪いのか県としておさえる必要があるのでは。県として把握する必要はあるのかなと思うがどうか。
岐阜県
排出量の多いトルエン、キシレンについて部下に調べさせたところ、これはシンナーと同じ物ですが、1日から 3日、遅いものでも10日か14日ぐらいの間に紫外線で分解する。それなら毒性の方はいいのかなと。
個別の削減努力(取扱量に対する排出量・・発言者注)についても環境保全協定の中で求めていきたい。削減の目標は一律ではない。企業ごとに取り扱っている物質も違う。行政といえども、一律削減を強制できるものではない。
フロア
個別の企業ベースにという形で協定を結ぶのか。
岐阜県
協定は紳士協定、県民に対する約束。なぜそうややこしいことをするのか。条例ではだめか、排水の基準 100だとすると上乗せをかけて一律に70なり80なりにすればよいので あ はないかという議論もある。
いまの時勢で、条例による強制的な上乗せをかけるには、妥当性をぎりぎりとつかまないといけない。ある川について、「これぐらいの川の水質をこれぐらいの良い水質にまで引き上げるには、業種ごとにこれくらいの上乗せ規制が必要」というデータが必要で、これを全県的に調べようと思うと何十億もかかる。それはできない。岐阜県のような貧乏な県ではとても無理。従って、自主的な削減努力を求める。
フロア
規制をしろということではなく、地域ごとの目標設定の予定はどうか。
岐阜県
考えていない。
4.
愛知県のPRTR報告
高田 元・愛知県環境部環境政策課
愛知県 お手元の資料をごらんください。今年の3月に国と同時に発表した県内の排出状況に関する資料。10月1日から施行された条例の概要。10月1日から施行された愛知県化学物質適正管理指針の概要について説明します。
愛知県の排出結果の概要
PRTR制度の目的(第1条)は、事業者が特定化学物質を取り扱う過程でどれだけ事業所外へ排出及び移動したかを把握すること。特定化学物質の性状、取扱いに関する情報の提供。それによって事業者に自主的な管理の改善をうながし、環境保全上の支障を未然に防止することにある。特定化学物質の環境への排出した量を排出量、廃棄物としてどれだけ事業場外へ移動したかこれを移動量とそれぞれ定義付けている。年度集計データを都道府県経由で国へ報告。国が集計して、都道府県にバック。都道府県等は地域の状況を報告することとなっている。
国と愛知県は同時発表だったが、イラク戦争の開戦に重なったのも一因か反響はあまりなかった。
集計結果の概要、2150事業所うち921はガソリンスタンド、輸送用機械器具製造業164、金属機械製造業150(愛知県資料4ページの表1)。物質数については、168物質の届出があり、化学工業が136物質と多い、1事業所あたり届け出物質数は4物質がもっとも多く823事業所(図2)。全国の排出量割合は愛知県6.2%で全国1位。2位は北海道。
排出量は2万6000トン、移動量は1万7000トン。排出量のほとんどが大気。移動量のほとんどが廃棄物。
図4、業種別内訳。図5排出量上位物質。1位がトルエン。
媒体別排出量を図7に示した。11ページに地域別排出・移動量を掲載している。
各地域それぞれ事業所が多いが排出量は、西三河地域が多い。ついで東三河、東尾張の順となっている。移動量は東尾張がもっとも多く、次が西三河。それぞれの上位排出物質は図8のとおりである。
去年は初めてということで、事業所の方も非常に苦労された。忙しいなか地球環境を守るという考えに賛同されて出していただいた。しかし受け取る方も信頼性を高めるためのチェック等で大変だった。県もかなり細かなところまでチェックした。
評価や今後の取り組みについては、始まったばかりで問題点もある。排出量、移動量について、精度を更に高める必要がある。
条例で取扱量を把握
愛知県では県民の生活環境の保全等に関する条例を策定した。従来の公害防止条例ははい煙発生施設等に関する産業公害への対応することを主目的とするための条例だった。目に見える公害、直接健康に被害を及ぼすものに対応する条例であった。時代が変わって地球環境、循環型社会という考え方の変化に対応するために新しい条例をつくった。その中で化学物質の適正な管理についての規定を盛り込んだ。化学物質適正管理指針の作成。取扱量も報告するようにした。管理書の作成。事故時の措置(応急措置を講じ、事故状況報告等の届出など)も新たに設けた。
また、管理指針も条例第67条にもとづき、策定した。指針は内容が6つに分かれている。指針の2に管理の方法。そこに規定されている化学物質の定義については元素及び化合物で放射性物質以外のすべて化学物質とした。それではほとんどすべての物質になるので、指針の2において、「取り扱う化学物質の性状、取扱量等から、人の健康及び生活環境に影響を及ぼすものについて事業者が自主的に決めるもの」としている。
指針3、事故の予防措置。指針の4.は化学物質に関するリスコミを円滑に推進するための規定である。指針の5。はISO14001の考え方。要求事項。計画を策定し実施、点検、継続的改善を行う。本指針の適正管理の考え方と似ている。指針の6。条例にもとづく管理書作成に関する事項。本指針は8月22日に愛知県公報で告示。HPのネット愛知の「愛知の環境」の「環境関係法令、要綱・指導等」に掲載している。
フロア
企業から出されたデータをチェックしているとのことだが、午前中の説明では推計マニュアルで出している。実測値としての信頼性ではなく数字の信頼性かなと思うのだが、どういうチェックをしているのか教えていただきたい。
愛知県
算出マニュアルに基づきマニュアルどおりにやっているのかやっていないかをチェックしている。届出数値の信頼性は事業所との信頼関係による。
5. 名古屋市のPRTR報告
吉開真紀・名古屋市環境局公害対策部公害対策課
名古屋市の排出量の概要
名古屋市 排出量・移動量の届け出は3月20日に資料を公表した。466件の届け出があった。これは政令市の中では一番多い件数である。
一事業所あたり平均4.6物質。4物質が214件。大半がガソリンスタンドからの届け出。
レギュラーガソリンにはPRTRの対象物質は4物質含まれている。プレミアムガソリンで5物質含まれている。それで4、5物質の届け出が多いのかと思う。
ガソリンスタンドの270件は報告件数の58%を占めている。
届け出物質数は全市で105物質。業種別に見ると化学工業が75物質。化学工業では多種類使っていることが見て取れる。下水道業や一般処理業は特別用件施設として対象になっている。法律で測定の義務のあるPRTRの対象物質が30物質程度なのでこのような数字となる。
届け出は排出量が4200トン。うち大気への排出は3900トン。移動量は3600トン。廃棄物が3500トン。土壌への排出と事業所内での埋め立ての区分での届け出は名古屋ではなかった。
届け出排出量の多いトルエン、キシレンの主な用途は塗料の溶剤、合成原料に幅広く使われている。少量だがガソリンにも含まれている。ガソリンスタンドの届け出からも出ている。
塩化メチレン(正式名称ジクロロメタン)は、金属の脱脂洗浄、溶剤として幅広く使われている。
排出量と移動量を合計するのはどうかと思うところもあるが、合計すると資料の5ページのようなグラフになる。
媒体別にみると、大気への排出はトルエンが1800トンで大気への排出全体の半分を占めている。水域別の排出の傾向は、愛知県と同じ。廃棄物としての移動では銅水溶性塩が600トン(17%)というのが特徴。下水道全体は12トンで亜鉛の水溶性化合物4.7トン(38%)。
業種別には窯業・土石製品製造業が最も多いのが名古屋の特徴。排出量と移動量のバランスを見ると業種によって化学物質の取扱い方が違うことがわかる。
区別の集計結果も4月に公開した。名古屋16区のうち港区が最も多い届け出事業所数だった。排出量も港区が多い。
名古屋市の化学物質対策
名古屋市の化学物質対策だが、PRTR法は県からの委譲で届け出事務をおこなっている。PRTR法の情報はリスコミのひとつの材料である。行政には情報提供の役割があるので、データの公表をしているが、どういう公表がいいのかは行政も手探りだ。全市における集計、区別の集計、地域メッシュ別を公表している。全市の集計と区別の集計は先ほど説明したとおり。南区の環境科学研究所施設公開を年1回しており、その時に試行的に作成してみた。集計結果を図にして張り出して示した。メッシュは約1キロメッシュ。排出量に応じて色分けした。
環境調査で環境濃度の調査をしている(4地点)。調査地点を地図にポイントで示している。ただし届け出のあった105物質すべてを調査しているわけではない。環境基準のある有害大気汚染5(ベンゼン、トリクロエチレン、テトラクロロエチレンなど)物質等を作成した。
なお、PRTR情報はHPで公表はしたが、記者発表はしていない。
名古屋市の今後の化学物質対策は主なものとして3つの対策を考えている
1つめは環境調査。2つめに化学物質の適正管理の促進。3つめがリスコミの推進だ。
環境調査は、有害化学物質環境調査。有害大気優先取り組み物質19物質について、大気汚染防止法に基づき毎月4地点で調査している。また、未規制有害規制モニタリング調査(大気)ではPRTR法の排出量が多いトルエン等の物質を4地点で月1回測定している。さらに環境ホルモン環境調査は、内分泌かく乱物質いわゆる環境ホルモンについて河川等の水質、底質の調査をしている。
化学物質適正管理指針を策定
化学物質の適正管理の推進については、環境保全条例を平成15年3月25日に公布(10月1日より施行)した。地球温暖化、土壌汚染・地下水汚染等の問題へも対応するよう、従来の公害防止条例の全面改正したもの。その中に化学物質の適正管理(平成16年4月より施行)があり指針も策定されることになっている(現在作成中)。
条例の化学物質関連の内容は以下の4点である。
- 管理指針の作成
- 取扱量の把握・届け出
- 特定化学物質等適正管理書の作成・提出(PDCAの管理)
- 事故時の措置
リスコミの推進ということでは、何からしようか迷っているところだが、講演会の開催
とアンケート調査の実施を行う。
アンケートは今年やってみた。行政から事業者にリスコミをお願いしますといっているが、どの程度普及しているか把握したいというのが目的だった。まだ結果を公表していないが、事業者もリスクコミュニケーションをやらないといけないことは理解しているようだが、「実際、何をしていいか分からない」という意見が多く戻ってきた。行政としてはそこを支援したいと思っている。
情報提供の方策の検討、実施ということでは、名古屋市のPRTRデータ、環境調査の結果を市民、事業者と共有した上でリスコミを進めることになる。情報提供をするさい、市民がどういう情報をどういう形で提供してほしいかを把握したいと思っている。
PRTRの活用はまずデータの有効活用だが、届け出ではなく情報をどう使うのかに意味があると思う。つまりリスコミのツールにすることに意味がある。
また、PRTRのデータを未然防止の観点での自主管理、規制の必要がない社会、市民の知る権利の実現に使っていきたい。
フロア
名古屋は条例をつくったとのことだが、愛知も条例をつくった。PRTRは国への届け出。国だけではなく今度は愛知、名古屋、国と3枚届出用紙を出すということか。
名古屋市
愛知県の条例は名古屋市は適用が除外されている。PRTR法の届け出は名古屋市を経由して国に届け出る。市の条例は名古屋市に届け出る。書類は2種類だが(条例の届け出書と国への届出書)、届け先は1つ。
6. トヨタ自動車の取り組み
安藤健吾・トヨタ自動車(株)プラントエンジニアリング部生産環境室室長
私が所属している生産環境室は、工場の環境対応の企画、推進をしている部署だ。 15工場・事業所、国内のトヨタグループ、海外の連結子会社を対象としている。
トヨタ自動車の環境対策と化学物質管理対策
弊社の環境の取り組みをPRTRの話題の前に紹介する。トヨタの環境対策の体系のトップはトヨタ基本理念。環境憲章を 2000年4月に改訂した。大きく変わったのは行動指針の1(生産・使用・廃棄のすべての段階でゼロエミッションに挑戦)と積極的な情報公開。
生産環境室が所管しているのは、取り組み体制のうち生産環境委員会の部分(太い枠で囲んでいる部分)。取り組み内容としては製品環境と生産環境双方を実施しているが、本日は環境負荷物質管理について説明する。
トヨタの化学物質管理を年表で示したが、古くは 1984年に環境保全事前検討制度を作って運用している。生産工場でつかわれる材料の排水処理、臭気などをチェックしたり、使用禁止物質もチェックしている。
1994年に制度を改正し、化学物質の排出管理を強化した。2001年ごろからIT化して対応を進めている。
トヨタの化学物質管理では国内法だけではなく海外の法規制や業界基準から管理するかどうかを決めている。現在 3424物質を管理しているが、うち568物質は使用全廃候補だ。使用禁止は464物質で、昔から使っていないから禁止にしておこうという物質も入っているが、PRTR法対象物質もある。
副資材も含めて管理しており、仕入先にも化学物質管理について理解していただくよう進めている。
10枚めに現在の環境保全事前検討制度の概要と特徴を示している。1984年からやっていたわけではないが、現在はこのような仕組みで管理している。
実際には禁止リスト、試験方法、結果の採用など仕入先に公開している。実際に×になるものを使っていいかという問い合わせは来ない。いまは電子データを使ってやり取りしている。
排出物質の環境影響評価は、国の基準値と照らし合わせて評価している。
大気シミュレーションデータの収集も日射量、放射量のデータがあまりないので、装置をつけてデータをとっている。
環境基準値がないものは想定環境基準値を設定している。想定環境基準地はWHOや米国EPAなど海外等のデータをもとにする。基準があるものは海外等の基準値をそのまま使う。ないものは算出式をつかって想定環境基準値を設置している。
排出物質の影響評価の例に示したある工場の場合、ホルムアルデヒドが基準値の 1/3を占めている。基準値より小さいがこの地域での影響も大きく、無視できないということで削減策を検討している。
削減対策の例
トルエン、キシレンについては削減計画があり代替化、使用量削減、塗料の水性化など行い削減中である。
洗浄シンナーの使用量削減対策を例に示すが、バルブの位置を変えたりホースの長さを短くした。これはロボットの重量を大きくできたので実現できた。最近では1回分の必要な量をカートリッジにシテ使っている。そのことで色替えの塗装が減り、洗浄しなくてもよくなった(ゼロになった)。
水域に排出されるニッケルの削減対策だが、国の規制はないので一番厳しい条例神奈川県条例の基準の 10分の1まで対策した。しかし現在の排出濃度は水道水指針値をもとにした想定環境基準値からするとぎりぎりのレベルなので、まだまだ減らさないといけない。しかし有効な代替技術がないので、排出処理施設の増強で対応している。さらに削減するためにはニッケルそのものの代替技術をなんとしても開発しないといけない。時間がかかるが3年以上前から検討しているので何とかなるだろう。
15工場・事業所すべてで見ると、これ以外にもまだ削減しないといけない物質がある。たとえば大気に排出されるホルムアルデヒドだが、これをいまの想定環境基準値の1/10にしたい。水域はふっ素が問題。同様に、ふっ素も想定基準値の10分の1にしていきたい。
PRTRの情報開示とリスクコミュニケーション
PRTRの情報開示で、届け出情報を地図に落としてみた。NITEの地図では多いもの濃い色になっている。豊田市は上から二番目のランク。エコケミストリー研究会の地図では豊田市は下から二番目のランク。トルエンやキシレンは排出量は多いがリスクが小さいといえる。
市町村ごとのリスクスコアで過去から比べると、 1998年実績ではトヨタは赤い色のところにランクしている。削減しておいてよかったという例だ。
弊社では 2001年からすべての工場でリスコミをしている。写真はそれ以前の2000年のものでPRTR情報を含めてトライアルをした事例だ。鋳物工場で行った。
リスコミは従来からの地域懇談会にあわせて実施している。数字だけ説明してもわからないということで、工場見学もしてもらって理解を深めていただいている。
PRTR支援事業も行う
PRTR法対応の支援事業も行っている。パイロット事業の時に関係会社の実状を調べたが、成分情報が十分入手できていなかった。それでは対応できないので情報提供をすることが必要ということで各社の出資を得て、エコリサーチをつくった。
化学物質管理システム、排出係数決定簡略化、報告書作成省力化などを提供している。またエコ材料情報の提供もおこなっている。ジクロロメタンでいえば代替事例 43件が蓄積されている。
事業所の支援策としてステップとして3つ考えている。
1つは化学物質管理だ。2つめが削減。トルエン、キシレンのリスクは低いと思っているが他社比較出ベンチマークをしてみる、海外の基準とも比較することで削減の必要性を示すこともしている。3つめが情報公開でそこには今後の削減計画説明も含まれている。
海外での化学物質対策実施状況
フロア
想定環境基準値、環境保全事前検討制度は海外でも適用されているのか。
トヨタ自動車
環境保全事前検討制度は海外にも展開しているが完全ではない。東南アジアではMSDSを法律で義務付けていない。実際出てくるMSDSは使いものにならない。現物でチェックさせている。しかし重金属はわからない。自己防衛上やれることはやっている。
想定環境基準値の展開はグローバルスタンダードにはまだできていない。していない。近々する予定ではある。日本の環境基準値のほうがWHOより厳しいものがある。それはおしつけられない。3420物質の管理をしなさいといっている。東南アジアにはトヨタ使用禁止物質+その国の規制物質をしっかり管理するようにいっている。その国の規制基準のほうが想定環境基準値より厳しい場合は厳しいほうを採用している。
PRTRデータ活用と問い合わせ
フロア
PRTRデータを社内の環境負荷物質の管理にどう生かしているのか。
トヨタ自動車
活用している。排出量のマップなど、経営者のトップに示している。
トルエン、キシレンを 2000トン以下にするという説明に使っている。
フロア
PRTRデータを公開から何か問い合わせがあったのか。
トヨタ自動車
問い合わせはなかった。イラク戦争でもやもやになってしまったのではないか。PRTRの報告見ているが、届け出事業所分見てもまだ届けていないところもあるし、国の推計がまちがっているというところもある。今回のデータは不完全。個人的な推測だが、来年のデータでかなり関心が深まることを考えているのではないか。
7. 総合討論
村田
いままでも報告があったが、PRTRでわかったこと、わからないことについて、わかりやすく説明してもらいたい。今回のデータでどんなことがわかったのか。何かわからないのか。そのあたり双方をみないとこの制度が十分理解できないのではないかと思う。
また、いまここでお話していただくことは職責を離れ一個人としてお話していただければと思う。皆さんもそのつもりでお聞きいただきたい。
その前に地域の市民の立場から、愛知ネットの吉川さんにコメントしていただきたい。
廃棄物になった瞬間、PRTR情報が消える
吉川
PRTRについてはほとんど素人で午前中から聞いていた。ごみ問題は質と量の問題。法律が改正されて一見よくなかったのではと思われているが、ダイオキシンも一番よい状態で測定されている。水質も基準が甘い。最終処分場の排水等問題。もぐらたたき状況を呈している。問題が解決に向かわずに農地に移動しているだけだ。ごみの発生抑制をどうするかも重要な問題である。PRTRをつかっての企業に眼を向ける活動も重要だと気づいた。大きな問題点として廃棄物の移動量は移動量でも大きなシェアを占めているが、その部分についてどこに移動してどこに化学物質があるのか把握できない状況という点が挙げられる。廃棄物になった瞬間から廃棄物処理法で規制がかかるが、規制物質は 354もない。廃棄物になった時点で化学物質の動向が把握できないのは問題だ。
リスクスコアも挙げられているが、事業所から出ているだけ。農村、山村はきれいだろうというマップになっている。実際は色がついていない地域でもたくさんの有害物質が出ている。マップを示されるのは大変危険な部分もあるのではないか。
PRTRは化学物質そのものが動くが、製品になったものは把握されていない。それも問題だと思う。
ごみ発電、RDFの問題でもその中に化学薬品が含まれデータ把握もないまま処理されている。このような問題にPRTRは対応できない。
PRTR情報でわかったこと
村田
それではまずPRTRによって何がわかったのか。それぞれの立場から簡単にひとことでまとめていただきたい。
三重県
おおむねどういう業種からどういう物質が出ているかがわかる。届出書を見ていてわかる。
岐阜県
わかったことはほとんどない。こういうものがこれだけ出ているということがわかった。いままでそれは把握できてなかった。こういう形になって初めて国内で使われている化学物質について『そうなの、へえー』という感じ。それがどういう状態なのか。大丈夫なのか、危険なのか。そこらへんがまだ解っていない。
愛知県
法律に基づき報告された事業所ごとの移動量、排出量等の実態がわかった。
名古屋市
どういうものが世の中にどれだけ出て移動しているのかがわかった。
トヨタ
予想どおりだったかな。やれやれという感じ。
会社別に合計を出すのは意味がない。化学物質は本来は地域のリスクが重要。
企業としては一番でなくてよかった。六番だった。弊社より上のランキングの会社で桁数まちがえているのではないか。
愛知県でトヨタグループが占めているシェアは 1/4。愛知県は全国で排出量が多い。部品会社を支援する事業を始めた。あれできっちり報告させたので増えたかなと。次の年は、増えることはないと思う。そういう見方をしてもらいたい。
他の県、一部の企業を削減しても全体として増えていくところもあるのでは。本来届けるべきところが届けてない。
愛知県は関係のあるところには報告させている。そう増えることはないのでは。
愛知県の中ではトヨタの排出量は3番目。1番目でなくてやれやれ。
量はたくさん出ていてもたいしたことはないが、地域の人がどう見るかは別。削減しないといけない。パフォーマンスの改善は今後も必要。
プリウスは一番。プリウスをつくっている工場も一番にならないといけないというのが経営者の思いだ。
村田
フロアの皆さんから、どんなことを発見できたのかを教えてほしい。
フロア
大学で環境リスクコミュニケーション・マネジメントを専門に研究をしている。業界側が熱心なのはよくわかっているが、行政側の対応を知りたくて来た。予想よりも残念ながらPRTRの制度に対する取り組みが弱いと思った。トヨタと対比してしまう。どうしても熱心で内容に見えない。そこがきょうわかった。
フロア
データが実測値ではなく計算上のデータ。ないよりあってよいのだが、トヨタの敷地から過去にトリクロロエチレンが出た。使ってないものでも地下水汚染が出てくる。万全の対策をしているトヨタでも出る。中小でもっと大きな数字が出る可能性もある。地図をみて安心する危険性があるということがわかった。
PRTRでわからなかったこと
村田
それではPRTRでわからないのはどういうことか。報告者の皆さんからそれぞれお願いします。
三重県
個人的に思ったのは、愛知ネットの吉川さんと同じ意見。廃棄物になった時点で廃棄物一種類に変わってしまう。廃棄物業者に渡したら移動終了。中間処理して三重県で処理するのかよそにもっていくのかわからない。
岐阜県
岐阜県でも地下水汚染けっこうある。工場の立ち入りを一生懸命していたころ、トリクロは、「こんなに便利、安全なものはない」という評判。まったく無害(当時のこと・・発言者注)。急性毒性がない。油をとるのにふつうの洗剤ではとれない。みんな素手で扱っていた。しかも、トリクロはコンクリートの床も通してしまう。でも、長期毒性があることが解った。それが今の地下水汚染の原因。こういったことを繰り返さないためにはどうすればよいのか。わかってないのは本当の毒性。このデータをはやくほしい。毒性に関するデータがわかっていない。
愛知県
事業所側から出てくる排出量、移動量の値が本当に実態を反映したものかどうか信頼性がわからない。県としてのチェック方法はPRTR排出量等算出マニュアルに従って行われているかどうかを見る。データの横並、業種、規模、操業状況により、各担当者の経験からおかしな数字なら指摘している。しかしPRTR法は、排出量と移動量のみの届出である。新条例では、取扱量を報告するように義務づけた。化学物質の適正管理の基礎は実際の収支バランスの把握であると考える。
名古屋市
PRTRは何トン出ました、移動しましたという報告。その値が多いのか少ないのかわからない。リスクがあるのかないのかよくわからない。数字の評価がいちばんむずかしい。
化学物質は分からないことが多いなあというのが実感。フロンも当初はこんなにいいものはないと流通していったが、あとからオゾン層の破壊という問題がでてきた。化学物質管理では代替ということがよく行われるが、安全なものに変えたつもりでも毒性等がわかってくるとリスクが減っていないということもあとで出てくることがある。
また、排出量についても取扱量がわからないので、管理がきちんとされていて排出されているのか、管理もされていなくて出ているのかが分からないというところも率直にある。
トヨタ
PRTRの情報公開をされる前から、環境報告書で主たる企業は公開している。ベンチマークは同業他社とする。環境報告書では取扱量等の公表もしている。そういうデータも比較して検討しているのでPRTR法のデータでどうのこうのは、特になにもない。
吉川
廃棄物の問題がPRTRでは把握できないことがわかった。データの信頼性はやや疑問がふくらんでいる。まだ1回目なのでこれからよくなっていくことを期待したい。良くすることを活動でしていきたい。
フロア
ある企業につとめている。世界一出しているのではないかということが7年前にわかった。公表されて5番以内だった。1番にはならなかった。それが成果だと思っている。
PRTRのデータは排出量。有害性をみるには濃度が必要。PRTRのデータは濃度ではないが、濃度らしく扱われている。そういわれるのもしゃくだ。濃度の部分をどう評価するかが今度は必要だ。
フロア
PRTRは 2001年間という1年間のものが排出される。それ以前に扱ったものはPRTRでは出てこない。
愛知県はトルエン、キシレンが多いが、業種として窯業・土石が多い。それはなぜか。行政の人なら説明できるはず。データがどうしてこうなっているのか説明していってほしい。それをすれば市民にわかりやすくなる。
全国の都道府県と政令市のHPをみたがでこぼこがある。他の都道府県のデータを勉強して意見交換してほしい。行政の勉強会に、市民をまじえて勉強していってほしいと思う。
PRTR関連で今後すべきこと
村田
これからどういうことをすべきか。個人レベルでも組織としてでもどちらでもいいのでひとこと。
三重県
届け出事業者をもらさず出してもらう。これが一番の義務ではないかと思う。
岐阜県
トヨタのようなレベルは無理でもその気になってがんばっている企業もある。がんばってない企業を協定でその気にさせていく。
愛知県
届け出データの信頼性の向上及びリスコミの推進を考えている。リスコミの推進を事業所に働きかけるため。愛知県では啓発の場を 11月に2日間もうけた。各界の有識者を講師に招いて事業所にリスコミを含めた化学物質の適正管理の推進に関する情報を提供する予定だ。県民と事業所とのリスコミを円滑に推進するようにしてもらう。
条例による取扱量の把握、化学物質適正管理指針等のいっそうの推進を図りたい。
名古屋市
リスコミで活用していきたい。コミュニケーションを進めることが重要。事業者、行政、市民にそれぞれ役割がある。行政としては役割分担をきちっとした上で円滑に進めるようしくみをつくるところに役割があると考えている。名古屋市ももっている情報は提供していく、事業者の理解をすすめる等の社会のしくみをつくる役割を担っていると思う。
トヨタ
当面のPRTRの対象物質の3物質の削減をしていく。今回の 354は水生生物の影響があるという観点が抜けている。結果として入っているものもあるが。何年か先に入ってくるので、それらの物質の削減など先手をうって対策をしていく。後手後手では企業はお金がかかる。
吉川
市民がどんなデータを求めているのかを把握していただいて、市民にわかりやすいデータ提供をしていただきたい。トン数はわかった。何から減らせばいいのかわからない。是非行政も何を減らすべきか把握して取り組んでいただきたい。
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