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新化学物質政策NGOフォーラムを結成する

Tウオッチ理事長 中地重晴

 

 
 

日本の中で、今まで化学物質問題に取り組んできた市民運動、NGOはダイオキシン、環境ホルモン、化学物質過敏症、環境汚染、廃棄物、労働安全衛生など、個別の課題で活動してきました。化学物質排出把握管理促進法(化管法)の施行をきっかけに、PRTR制度を市民のために有効活用することを目的に、20024月に有害化学物質削減ネットワーク(Tウオッチ)を結成し、化学物質管理政策に取り組む緩やかな市民・NGOのネットワークが形成されるようになりました。

 

Tウオッチを中心に、あしかけ3年前から、欧州連合(EU)で検討されてきた新化学物質政策REACH内容を学ぶ国際市民セミナーを共同で開催し、2005年には、「化学物質汚染のない地球を求める東京宣言」の署名活動を共同で行いました。

 

こうした活動の積み重ねの中で、200612月「化学物質管理のあり方に関する市民からの提案」を取りまとめました。省庁縦割りの目的用途別の細切れの化学物質管理から脱却し、総合的な化学物質管理を求め、化学物質管理基本を制定し、全ての化学物質を対象とした安全性評価及び表示制度の確立、化学物質被害者の救済、ナノテクノロジーなど新たな問題への対応など総合的な政策提案を行いました。

 

今年春から、環境省、経産省は、2007年の化管法の見直し、2009年の化審法の見直しを見据えて、産構審と中環審合同の化学物質環境対策小委員会を設置し、検討を始めています。化学物質政策への市民参加を実現していくために、化学物質管理をどうしていくのか、市民自ら政策提言を行おうということで、新たな市民のネットワークを発足させました。

 

324日に「新化学物質政策NGOフォーラム」の結成集会を開催しました。Tウオッチ、化学物質問題市民研究会、ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議、WWFジャパン、全国労働安全衛生センター連絡会議、中皮腫・じん肺・アスベストセンター、きれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国連絡会の7団体が参加しました。

 

このNGOフォーラムの運営については、当面は緩やかな連絡組織、ネットワークとして連絡先、事務局をTウオッチに置くことを申し合わせました。これから2年以上にわたる化管法、化審法の改正論議に積極的に参加し、市民の意見を政策決定に反映させていきたいと考えています。結成集会とその後の会合で、昨年末に発表した「市民提案」にある総合的な化学物質管理のための化学物質管理基本法の制定をも視野に入れた政策提案活動を展開していくことを確認しました。

また、SAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)の国内実施計画の策定作業が行われていますが、「2020年までに化学物質の健康と環境への影響を最小とする」2020年目標達成のためには、市民の政策決定への参加が重要だと考え、積極的に政策決定に関与することも確認しました。

 

今後の活動として、「東京宣言」に賛同していただいた団体に呼びかけ、「市民提案」の賛同団体を増やすことから始めていきたいと思います。より多くの団体から賛同を得るために協力のほどよろしくお願いします。        (Tウオッチ通信 第2号(2007年5月)より)